訪問日：2023年8月18日　晴れ　気温35度
昭和11年（1936年）完成から87年を経ています。鉄骨鉄筋コンクリート造りで大理石装飾の最高峰。
2009年（平成21年）の大規模修繕と外壁清掃によって綺麗な状態です。





● 溢れる歴史遺産 ...

ワタクシ、東京郊外に住んでいながらも都心部や近隣の県に訪ねてみたいところがたくさんあります。どうやら遺跡・史跡というか建造物や遺構とか乗り物とか小物も含めて歴史の痕跡とか、そんなのが好きらしい ...（←ぢぶんのことだろう？）
高校を卒業して九州から上京して以来、近いからいつでも行けるさ ... なぁ〜んて考えていたらあっというまに5年が過ぎ、10年が過ぎ、30年が過ぎ ... ました。
そんなひとつが国会議事堂。私はまだ現物を見たことがありません。都内では小学校の遠足や社会科見学コースになっているそうですが ...

... というわけで今回は国会議事堂を訪問します。
建物は衆議院と参議院とで左右に分けて使われており、見学（参観といふ）もきっちり分かれています。 正門（東側）からみて左半分（南側）が衆議院、右半分（北側）が参議院。どちらもガイド付き１時間コースで無料です。 10人未満の少人数や個人なら予約不要なので衆議院見学を終えた後に参議院見学に参加することも可能。

撮影可能な場所は衆参どちらも３箇所と決まっているようですが内容は多少異なります。 衆参とも本会議場は国会開催期間中は見学も撮影もできませんので会期は事前に確認したほうがいいでしょう。
グループ行動なので任意の場所で撮影はできません。時間の制約もあります。
今回、いきなり思い立ったのが衆議院です。衆議院は土日や祝日も見学できます。
参議院見学は平日のみですが、ランチ付きコースもあったりします。う〜〜ん、参議院にすればよかったかな？
衆参両者の見学（参観）に関しては以下のとおり ...

・衆議院参観の手続き
　https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/tetuzuki/sankan.htm

・参議院参観の手続き
　https://www.sangiin.go.jp/japanese/taiken/bochou/kengaku.html


というわけで地下鉄の『国会議事堂前』駅で降りますた。暑い ...



地下鉄1番出口から北側へ少し歩けばポストの先に衆議院見学の受付があります（衆議院の土日祝見学や傍聴はその手前に別の受付があるので間違えないように）。
ちなみに参議院の見学受付はもっと北側なので地下鉄「永田町」駅からのほうが近いです。
見学は衆議院は一日に6回、参議院は一日に8回です。この日は衆議院の13時からのグループに参加しました。12：35でしたがすでに２グループが並んでいて私は３番目でした。後ろで関西弁が聴こえたので全国からやってくるのでしょう。平日の金曜でしたが夏休みとあって子供連れの参加者も多かったです。
見学（参観）申し込み用紙に必要事項を記入して受付カウンターへ提出します。
そのまま建物の地下へエスカレーターで降りて見学待機場所のロビーへ。

広い！　広すぎる！　（この写真はフロアの1/3しか写っていません）



待っているあいだに見学コースの説明映像が流れていたので予習しました。
参議院の見学待機所も同じ広さのはずですが、議員バッジや明治天皇の座席などが展示されているそうです。やっぱり参議院にすればよかったかな？
そしていよいよ金属探知機や手荷物検査を受けます。見学者全員が揃ったら出発〜〜っ！（←いかりや長介風）

廊下のじゅうたんや掃除機用の吸気口、地下へ落とす郵便ポストなどの説明を受けながら進みます（その間撮影はできません）。政党ごとに部屋も決まっていて○○○党の表札のある部屋もいくつか見かけました。このページの最後に衆参両方の見学動画リンクもつけておきます。
そして最初の目的地、天皇の控え室である御休所（ごきゅうしょ）に着きました。
天井が激しく豪華です。

はっ！ ガラス越し！



しっかりガラスに反射して見学者や警備/衛視の方も写ってしまいますた。
PLフィルター ... を装着・操作する時間的なゆとりなど全く無く、隣の皇族室も同様のガラス越しです。
やむおえませんな。金細工、螺鈿細工、蒔絵など当時最高の工芸技術と建築技術がゆえ歴史的に貴重なのであるます。
ちなみに机がL型なのは軍服時の帽子を置くためだそうな。

御休所の入り口のレリーフは上から下まで1枚の大理石から彫り出したものです。
この場所以外にも館内はいたるところ天井にはステンドグラス（英国製）で採光してあります。




中庭の池
移動中のため写真撮影できませんが ... 中庭の池が見えます。錦鯉が泳いでいる池の中央には吸気口があり、氷室を経て建物内の部屋や廊下へ冷風が入る構造です。現在は議事堂内にエアコンが設置されていますが、当時は頑張って工夫していたのですな。

天井は高すぎて、もう若くない私にはステンドグラスがよく見えませんでした。
足元の床は色とりどりの精緻なモザイクですが老眼でよく見えませんでした。
床のモザイクにスキマ/亀裂痕があるのは建設中の関東大震災の爪痕だそうな。




中央広場
国会議事堂の建物のちょうど中央です。ど真ん中。
内部の高さは32.6mあります。この下の1階奥に通称「開かずの門」が見えます。
開かずの門といってもふだん開いていないだけで国会開催時に天皇を迎える時や国賓の演説を迎えたり、新人議員の初登院、記念行事の一般公開などでけっこう頻繁に開きます。「ときどき開くモン！」と改称してもいいかもしれません（←くまモンぢゃないんだぞ）。





中央広間は中央玄関から御休所へ向う途中にあり6階までの吹き抜けです。伊藤・大隈・板垣３人の銅像。Wsopedia によると残りの1つは現在空座ですが、将来の鶴田用にとってあるそうです。




あまりの豪華絢爛ぶりに頭が麻痺してきます。ここの蒔絵や螺鈿等の意匠は上品なので技巧的なところを含めて興味深く観覧します。全体的には欧米新古典主義ですが、大正時代の設計とあって議事堂内には部分的に明治時代の様式や昭和への移行期を感じるデザインもあって興味深い内容です。
日本の代表的な大理石である花崗岩、山口県の黒髪石、広島県の尾立石など全国から37種類の大理石を採石して使用。現在では入手不可能な石も数種類含まれるといいます。


構想50年・工事期間17年
様式・設計の変更や官庁建築の重鎮・妻木頼黄と建築学会 辰野金吾との対立、度重なる火災、突貫木造の時期もあり、関東大震災、2・26事件で占拠されるなど決して平坦な道ではなかったのです。
地上3階、地下1階。塔屋部9階（65.45m）。建物の延面積約5万3500平方メートル。


本会議場
いつもテレビやネット報道で目にする現場ですね。当時はここに見合う電気的なPAがありませんから肉声が聴こえやすいような設計になっており、反響抑制のために壁は凹凸が多く彫刻入りの欅造りです。しかも壁紙はシルク。
個人的にはこれを撮影している傍聴席の最前列のさらに一段先にあるカメラ席/報道席が印象的でした。 カメラ席は朝日新聞、サンケイ、日本経済新聞、などと席ごとに自社ステッカーが貼ってありました。カメラスタンドも各社特注品やCクランプの簡易品や改造品など様々...
グループの見学コースなので時間制限があって急ぎ足で移動しながらごく短時間で構図とズームと露出/補正とアングルを決めねばならず緊張しましたが、予定どおりのイメージで撮影できたと自負しています。
うまく収まらない時にカメラのグリッドを見ながら、とっさにですがちょっとだけ左右や前後斜めにカメラをよじるとパースが解決しますな。





屋外へ出ます。身を刺すような太陽の光 ...
見学グループはゾロゾロと日陰を伝ってGOする状態で移動します。
タクシーを呼んでもここには来ません。





見学も終盤。このあたりの位置から撮ると建物の特徴が良く撮れます。
暑くて死にそうですが見学グループは容赦なく先へ進みます...
私だけ少し遅れながら急いで撮ったのがこの１枚。




見学コースのゴールである正門の目の前まで歩きます。
案内担当者いわく歴史的な建物だけに日常のメンテナンスはもとより空調の強化、ITやバリアフリーなどの課題も多いとのこと。

最後に参加者の皆さんが交代しつつ建物をバックに記念撮影を終えたら見学終了。
敷地内に滞留できないので、とっとと正門の扉から外へ出なければいけません。正面からの写真はモロに逆光！ しかも撮影できる位置が左右の植え込みの中央（衆参の境）を超えてはならないと決められているので、ちょっと撮りにくかったです。
ほんのちょっとだけ中心線からはみ出して警備員に引き戻されてる人がいました（^_^）

名物と言われる国会中央食堂の煮込み健康カレーを食べようと思ったら、今日はやっていないとのこと！

なんだってぇ！？

たぶん、日本ではいまだに騒いでいるコロナ脳の影響かと察します。
それならと、御茶ノ水へ移動して日乃屋カレーで〆ました♪　もちろんルーの大盛りにて！
日乃屋カレーはチェーン店ですが店舗によってメニューが微妙に異なるのが面白いのです。
標準カレーに生卵か半熟卵が乗っかっていることと、ルーの大盛りオプションは共通ルール。







● 今日のPAY
国会議事堂 衆議院参観（見学）料：0円

日乃屋カレー：1030円
（温泉卵カレー730円＋エビふりゃ〜150円＋ルーの大盛150円）




● 今回の版画


100円札　

私の記憶によると ... 子供の頃に手にした100円札にヒゲのお爺ちゃんと立派な建物が印刷されていました。
当時の百円は私には大金で、それを手にすると何でも買えそうで大富豪の気分になったものです。良い時代でした。

・日本銀行券B号100円 板垣退助
　図案：板垣退助と国会議事堂
　サイズ：縦76mm、横148mm
　印刷期間：昭和28(1953)年12月1日〜昭和49(1974)年8月1日



のちの令和になってから古銭として百円札を１枚入手しました。
私の所有する版画 ... おっと、紙幣は番号から調べると大蔵省印刷局 滝野川工場（東京都北区の王子駅の南にある印刷工場）で後期に擦られた個体です。たぶん1960年以降でしょうか。
紙幣も銅版画を基にした立派な版画作品です。そういう意味では今回も版画の現地を巡る旅シリーズなのでした ...
次の機会には参議院の見学に参加して逆の角度から撮影するとします ...（お預け）

国立印刷局の動画：「お札の製造工程」









● 参考リンク集

・衆議院国会施設案内 YouTube
・参議院国会施設案内
・国会議事堂 Wikipedia　[構造]は必読！
・日乃屋カレー （店舗一覧）　店舗によってメニューが一部異なります。アマゾンでレトルトも売ってます。




　

記事：2023年9月16日

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