カポタスト製作ちょ〜入門:Gallery2




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Capo for Ukulele and more

ウクレレでもカポタスト、けっこう使います。とくにテナー・ウクレレ。ギター用のカポよりひとまわり小さく、市販のウクレレ用カポはゴム式で、どうしてもギター用のデザインをそのまま小さくしたようなものになってしまいます。しかし、ウクレレは指板幅が狭いにもかかわらず弦の間隔がギターよりも広いのです。ここに違和感無くバランス良く、アクセサリを配置するのは容易なことではありません。また、サイズさえ合えばバンジョーやマンドリンでも使えます。但し、CRANEカポでマンドリン用カポと明確に銘打ったモデルは構造もまた少し変えて作ってあります。そもそもギター用以外の小型木製スペイン式カポタストは希少、ウクレレ、マンドリン、バンジョー、どれもスペイン式カポタストとしては唯一CRANEで製作するのみ。現時点では一般には市販されていません。

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ボディはバール杢のチーク材で、それを本黒檀がサンドイッチするという贅沢な仕様。ソールはブルーの革で41mmですが、幅は広めの18mmのため小型楽器のなかでも比較的フレット幅の広いものに対応します。ウクレレでいえばテナーやバリトンといったところかな? 半月型のカポは安価なモデルに多いのですが、あえてここでは材料にこだわってみました。材料のコントラストが個性的で案外人目をひきます。


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スネイクウッドのボディをもつ小型カポ。いくつか作りましたが、この材は注目です。細いラインを重ねたようにうねっている美しいスネイクウッドで、なかなか入手困難な個体です。ボディの片面は明るめの茶色で、もう片方は濃褐色であるため上品で落ち着いた雰囲気です。ボディは両端がクラウンスタイルでソールにはトカゲの本革を採用。43mm x 15mm


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コメントこれもまた杢の非常に美しい材を用いています。スネイクウッド製のカポタストはいくつも作りましたが、こういったヒョウ柄のような杢は見ていて飽きがきません。ウイングは丸みをおびて彫り込みも深く、塗装も光沢仕上げとあってコブの目立つ活発な印象です。さぁ!やったるでぇ!! と言わんばかりの勢いがありますな(笑)。ソールは38.5mm x 15.5mmでボディ両端はクラウンシェイプのアレンジ系。紫のトカゲ本革ソールと青いベルトがが絶妙なカラーバランス。


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これまたスネイクウッドの小型カポ。え? さっきの12番や13番とどこが違うのって? 同じに見えるアナタは修行不足(笑)。ボディ両端はクラウン系の彫り込みは無くむしろずんぐりとしています。ウイングはOシェイプ、やや尖った形状です。深く濃い杢のため蛇模様は地味に見えますが、激しく隆起した彫りとのバランスは絶妙です。ミュージシャン田代耕一郎氏へ譲渡。


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半月というよりは三日月のボディ。芯材にはヨーロッパのペアウッド、両サイドはハワイアンコアのキツ〜〜〜ィ杢のでた材を貼ってあります。こうすることで軽量化を狙ったモデルです。コア材の杢を大事に使うため、このモデルは工房焼き印をボディ上面に焼いている点も御注目。ベルトには実験的にワニ革を用いてみましたが、背びれは邪魔なのでのちにフツ〜の牛革に交換しました。 ソールは41mm x 13mm ちょっと細めです。ミュージシャン田代耕一郎氏へ譲渡。


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本黒檀(マグロ)と象牙(19世紀のピアノの鍵盤から採取)を使った贅沢なカポタストです。こういったツートンの材を上品に完成させるのは非常に難しい作業です。カポに限らず単純無垢な素材ほどデザインの本質的な能力を問われるものです。ちょっと間違えるとミットモナイ安っぽいカポになってしまいます。エッジの切削を何回も練り直し、納得のいくまで造形を追求した結果、小型でありながらも品格を備えたフォルムに仕上がっています。理化学研究者として著名な岡ノ谷氏のためのOシェイプに基づくクラウンシェイプを持つ入魂の1作。CRANE工房のカポのなかでも屈指の美しさを誇ります。愛知県のTさんへ譲渡。

本体:本黒檀と本象牙(CRANE工房焼印入り)
ペグ:ツゲ(黒染)
ガット:羊腸(ドイツ キルシュナー社 Dタイプ)
ベルト:本革/光沢オレンジ色
ソール:薄本革/灰色 42mm x 12mm


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マンドリン用カポタスト。29mm幅と、たんに小型になっただけではありません。専用設計だけにいくつか工夫があります。マンドリンといってもGibsonやルシアン・ジェラのマンドリンを意識して作っています。つまりネックが三角形の場合、マッキニーのような金属カポの場合は装着が不安定ですが、これは革のベルトなので御覧のようにピッタリフィットします。スペイン式でヨカッタ! 本黒檀(マグロ)と象牙(19世紀のピアノの鍵盤から採取)を使った贅沢なカポタストです。全体をモノクロでまとめたデザインで、特別にガットも黒の羊腸を採用しています。

本体:本黒檀と本象牙(CRANE工房焼印入り)
ペグ:ツゲ(黒染)
ガット:羊腸(特注黒ガット)
ベルト:本革(黒オイルレザー、CRANE工房焼印入り)
ソール:天然ゴム 29mm x 13mm
重量:8.5g


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9号カポ ハカランダ(ブラジリアンローズウッド)  ソール35mm ツゲ(茶褐色染) 手のひらに収まってしまうぐらい非常にコンパクトで素朴なデザインのウクレレ用カポタスト。もちろんスペイン式ですが、ここではウイングを持たないスタイルで製作しました。ハカランダの色合いとペグの茶褐色が地味に渋い魅力を放っています。写真に写っている楽器は約100年を経たクマラエのウクレレ。こなれたコアの色合いにも自然になじみます。弦楽器製作仲間のS浦氏に譲渡。


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10号カポ ハカランダ(ブラジリアンローズウッド)  ソール40mm ツゲ(茶褐色染) これぐらいのサイズであればソプラノからバスまでたいていのウクレレには使えるミニカポです。本体の厚みに比べてウイングもおだやかで肩の起伏も控え気味にデザインしています。写真ではわかりづらいかもしれませんが、ハカランダのなかでも縞のよく出た材を用いており、塗装も光沢を抑えたオイル仕上げ。ソールの革は薄手の羊革(灰色)となっています。イタリアTORO社 ヴェニスガットはスパイラル紋様が粋です。CRANEホームページ創設時からの常連のお客さんであるHg氏に譲渡。彼自身もまた素晴らしいウクレレを自作する製作家でもあります。


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11号カポ ハカランダ:ソール40mm 一見するとかなり小振りなミニカポに見えますが、ボディの両端部が大きくせり上がり、肩とウイングも極端なほどに隆起しています。必要以上に肩とウイングを彫り込んだせいか、イカリ肩といいますか、存在を主張するといいますか、「てやんでぃっ!」みたいな勢いのあるフォルムに仕上がっています。そんなやんちゃなフォルムが自分でも気に入って「小鉄」と名付けています。自分用に作ったものですが、出番がほとんど無く、のちにソールを天然ゴムへ交換して愛知県のTさんへ譲渡。


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12号カポ 黒檀:ソール45mm ウクレレ用というよりは小型弦楽器のためのカポであり、45mmのソールはウクレレでも小型のギターでも、あるいはマンドリンや一部のバンジョーでも使えるでしょう。本黒檀の重厚な色合いと平坦なウイング及び肩の形状はソリッドな印象を与えますが、ネックに収まるとビシッ!と空気を引き締める力強さがあります。小粒でもピリリと辛い存在感。ベルトも黒い革でCRANEエンジェルの焼き印入り。CRANEのカポは全て本体に焼き印がありますが、なかにはベルトにも焼き印を押したモデルも存在します。44mm x 14mm 9g


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出ましたダブルウイング! しかもウクレレ用! まぁ、ウクレレでなくともソール長が合えばどんな楽器でも使えるのでしょうけれど、ひとまずウクレレ用としておきます。ギター用のボディのほうがダブルウイングの加工がしやすいと思うでしょう? でもあえて小さなウクレレカポにそれを施すのがテクニックですがな。やたら狭くて糸鋸も素直にカーブせず、木目に引きずられるのですが、歯を食いしばって(ウソ)なめらかな羽に造形するのはかなりの苦労なのですよ(本当)。スネイクウッド ソール41mm 幅14mm TORO社ベニスガット(羊腸)弦。CRANEの常連さんでもある大阪のH氏へ譲渡。


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とくに密縞のスネイクウッドを用いたフラットなウイングスタイル。腰のくびれはCRANEオリジナルデザインのクラウンシェイプ。このビミョ〜なくびれ具合がヨロシイのですよ。ちっちゃくても存在感のあるアイテムにはこのように面倒でも手間を惜しまず丁寧に作業することですな。そうすればちゃんとソレっぽく見えるものです。ペグを限りなく低くするためにボディの肩部分(ペグ穴)の周囲を削ってテーパも付けています。ベルトにも焼印。ドイツ キルシュナー社 DL(コートされた羊腸)の紐と茶褐色に染めたツゲのペグとで構成されます。理化学研究者として著名な岡ノ谷氏へ譲渡。


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どうです? ピリリ!とくるでしょう? 珍しくシャムガキのストライプ材を使ってウクレレカポを作ったのですが、思ったよりなめらかで木肌も荒れることなく仕上がりました。ペグのツゲとも相性が良く、一般的な黒檀などと比較して全体的に白い印象です。実際には塗料で黄色い半光沢ですが、こなれたヴィンテージウクレレに装着するとネックやヘッドの飴色とは対照的に際立って見えます。このカポでは天然ゴムのソールを採用しており、革と違ってラインがキッチリ出ますからよりシャープな印象になるのです。TORO社ベニスガット ソール39mmで幅13.5mm


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セアラローズの縞に深い彫りを施すことで、独特の濃い赤紫模様が生じます。ツヤを抑えた塗装ですが、ワカル人には解るという通好みの仕様です。39mmソールなので主にウクレレ用ですが楽器によっては5弦バンジョーにも使えるのがCRANEミニカポの良いところ。セアラローズはブラジリアンローズウッドよりもむしろ赤褐色のまだら模様が好まれることすらあります。シェイプはウイング先端が鋭利な角度を持ちます。天然ゴムのソールは使用感にも優れており耐久性も非常に高いです。この時期に製作したカポには特製のキリの小箱とポーチが付属します(いずれもCEANE刻印入り)。宝塚のバンジョー奏者O氏へ譲渡(ソールは天然ゴムにガットはナイロンに交換)。

本体:南米セアラ州のローズウッド
ペグ:ツゲ(茶褐色染)
ガット:羊腸(イタリア TORO社 ヴェニスガット)
ベルト:本革/エンジ色
ソール:天然ゴム/黒色 39mm x 14.5mm


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シャムガキは白黒のトーンが面白い木材。天然の材なのでこういった材を探すのもカポづくりの楽しみのひとつです。むしろ木材を探していて、見つけた材からカポの新しいデザインを発想することも珍しくありません。この杢/模様だとこんなカポができそうだなぁ.... そんな例のひとつがコレ。ボディの下半身、おっと、下半分は黒く、上半分は白。ペグもツゲでボディと揃えました。コーディネートはこ〜でね〜といけませんなぁ。千葉のEさんへ譲渡。


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さきの9番のカポと同じコンセプトで今度は白黒を左右に配したモデル。材は同じくシャムガキ。さきの9番もそうですが、ペグを白にするか黒にするかで悩みます。ソールの革もさきの青紫トカゲに対して赤いシボ革、ベルトも9番は黒い光沢なめし革でしたがこれはエンジのマットな厚手の革です。同じボディでも装具を変えるとまた全然違う雰囲気に仕上がります。ソールは40mm x 13mm


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