Concept-2
LastUpdateFriday, 20-Jan-2017 22:22:38 JST 
(C) Makoto Tsuruta /
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- My original concept model -
Made by Makoto Tsuruta in 2003.
Last updated : Jan. 3, 2004 /Jan.24,2004 /Feb.12,2004


 

【写真】

PIC 001 : 全体像
PIC 002 : 黒檀表面板
PIC 003 : メイプルネック
PIC 004 : サイドも黒檀
PIC 005 : ボディは案外深いのです
PIC 006 : 指板やブリッジも黒檀


 

CRANE コンセプトモデルに関して

さて....... 2004年になってしまいましたが、前回のG.B.Fabricatoreの記事に引き続き、今回は2003年製作のもうひとつの楽器「Concept-2」の紹介記事です。いつもならこのコーナーはウンチクを並べてはじめるところですが、今回はひとまず「音色」を聴いてもらいましょう。奔放初 ... 、おっと、本邦初公開、製作者本人による演奏..... といっても私の場合はたいした腕前ではありませんので、ヘタの横好きモードと御理解ください。音色を知っていただくためのものです。ちなみに当CRANE工房でMDレコーダとカラオケマイク1本のみで録音しています。

うつろの恋 (Arietta) / オペラ 美しき水車小屋の娘より 作曲:G.Paisiello  1:13 (約570KB)

 

 

おもな仕様

御覧いただくとわかるとおり材料としては黒檀と象牙が主体、いわゆるCRANE版の「Evony & Ivory 」ですな。ネックはメイプルですが専用のアルコール染料でセラックにて染めています。

・全長:約700mm
・弦長:455mm
・総重量:675g (ペグ・ブリッジ・ピン・弦含む)
・糸巻:木ペグ(ペアウッド:黒染)
・使用弦:ナイロンとカーボン、そしてギター用の巻弦などを混在
・表面板:黒檀
・側面板:黒檀
・裏板:黒檀
・ヘッドプレート:黒檀
・ネック/ヘッド:メイプル(クオーターソウン)セラック染め&塗装
・ネックジョイント:11フレット位置
・指板:黒檀
・フレット:ニッケル:Tタイプ
・ブリッジ:黒檀
・サドル:象牙
・ナット:象牙
・塗装:OIL仕上げ(ダンマル樹脂・蜜ロウ)
・ヒールキャップ:象牙
・エッジガード:象牙トリム


製作の流れ

・まずは製作のよりどころとなるモデルですが、18世紀中期のイングリッシュギター2本と19世紀のポルトガルギターを御覧ください。次の写真のいちばん後ろの楽器がポルトガルギターですが、現代のそれよりふたまわり小さいボディに木ペグ、10弦6コース、金属弦といった仕様です。かつてポルトガルでは隣国でなにかと争いの多かったスペインのくびれたギターよりもイギリスとの交易によるイングリッシュギター(Guittar)の影響を受けていたわけです。中央2本が18世紀のイングリッシュギターで世界的に知られるプレストン、そしてフレデリック・ヒンツです。今回のConcept-2はこれらの18世紀、19世紀の楽器を採寸して基礎資料としました。

 

図面を描く

毎年楽器図面を提供していますが、今年はヒストリカルな楽器ではなくオリジナルモデルです。当クレーンホームページの「弦楽器原寸図面」コーナーにて無料にてダウンロードできます。御利用ください。

 

 


製作過程

 

前編

 

 

さて、まいりましょうか。上記のとおり参考にした楽器が当時のシターンではありましたが、ヒストリカルコピーではないので、どうせなら思いっきり冒険しようと思いまして「総黒檀」で作ることにしました。厚さ0.9mm〜1.2mmの黒檀薄板を全面に採用し、なんと!表面板にも黒檀を使うという無謀な試みです。ウクレレでは総黒檀のものがいくつか過去に例がありますがシターンスタイルでは世界初!(←それがどうした)。

総黒檀はいいけれど.... ネックも黒檀というわけにはいかず、楽器の重量バランスを考えるとメイプルあたりが無難と考え、ストックしてあるトラ杢のネック材(クオーターソウンなのだ)を使うことにしました。

 

(1)まずはネックを成形します。私はバンドソーを使わない製作家でありまして、なんでも糸鋸で処理します。逆にいえばバンドソーを使うような楽器は作らない(作れない)ということになります(ホントか?)。 ヘッドやジョイント部分もすべて糸鋸でカットしていきます(執拗に糸鋸なのだ)。

 

(2)お次はスポークプレーンで成形。トラ杢は丁寧に作業しないと刃につかえてめくれてしまうのでおおざっぱに削り、あとでサンディングして適度な寸法に仕上げていきます。すでに5年以上(10年ぐらいかな?)乾燥させてある木材ですが、こうやって削ったあとはすぐに次の作業に進まず、材をなじませるためにしばらく放置することに私はしています。

 

(3)ということでネックをほったらかしてボディにとりかかりましょう。ボディ形状はクレーンではもうおなじみの Illustrator を使います。ベジェを自在に操って描いた後、プリンターで紙に印刷したものをモールドの型紙としてそのまま糊で貼り付けて使います。寸法調整もすべてコンピュータ上で行うので非常にらくで修正等の融通がききます。基本的に私は同じモデルを繰り返し作らないため、モールドは基本的に1回しか使いませんから多少もろいファルカタ集成材でも強度的には充分です。

 

(4)木材がギリギリの寸法でした。黒檀は非常に重くて硬い木材ですが糸鋸で切り出すときはいつ亀裂が入るかとヒヤヒヤしながら作業したものです。切り込む木目の方向に注意しないとカンタンに割れます。

 

(5)ようやく糸鋸で表と裏のパネルを切り出しました。割れなくてヨカッタ。ブックマッチして御覧のように前後のパネルとなります。

 

(6)側面板はボディの深さを一定にせずヒール側を浅くボトム側を深くします。そのため斜めに板をカットしますが、ここでも黒檀薄板なので糸鋸を使うと間違いなく木目方向に亀裂が入ります。そこでカッターと定規で切ります。

 

(7)モールドとベンディングアイロンで曲げ作業です。私はこの曲げ作業が好きで、微妙なRをイメージどおりに曲げられたときは万歳三唱して玄関に花輪を飾り、紅白横断幕を張って宴会を催すほどです。

 

(8)上下のブロックを作らないとパネルを組み立てられませんので、図面を参照しつつ作ります。ここでは松材をブロックに使っていますがヒストリカルなコピーでは他の材料を使います。ここでもやはり糸鋸が活躍。おおざっぱにさっさとカットして、あとはクレーン推奨200星ミニカンナで整えていきます。

(9)ボトム・ブロックとコーナーブロックを作ります。部品が小さいときは両面テープが大活躍。台板にはりつけてれば安全で効率よく作業できます。

側面板は隣接する接合面をピッタリ合致させねばなりません。ここが腕の見せどころ...... といいつつ、日頃の行いが良いので鼻歌まじりであっけなく揃いました。接着前に仮組して具合をチェックします。側面板はこの時点ではまだ高めにしてあります。

むしろ上のブロックはカーブに揃えるのに苦労しました。ほんのわずかにRが違っても密着しないのですから時間をかけてブロックを調整し、うまく揃うように合わせます。根気のいる作業です。

 

(10)サンドホールをルーターでくりぬきます。ドレメルとウエィバリー社のオプションであっというま。この写真には出ていませんが表面板の内側にはスプルースの板を前もって接着してあり、そのスプルースと黒檀ごとまとめてくりぬいています。ついでにロゼッタの溝も切っておきましょう。

 

今回のローズはじつに単純な白のワッカに見えます。しかし実際には黒/白/黒のパーフリング材を使っています。
グルグルうずまきキャンディー♪ ノースカロライナ〜♪ と歌いながら作業するのが正しいのです。唄っていたのはキャロライン・ヨーコでしたっけ?? 違ったかな?

 

 

 


後編

 

さ〜〜〜〜て、(こう、耳に手をあてて....)良い子の皆さんお元気でしたかぁ〜〜? 

 

・・・・・・・・・

 

 

Gooood!

 

 

このネタはどこかでいっぺんやりましたね、たしか?........... ま、いいか。 前編に引き続きシターン・スタイルの楽器を作る手順を公開していきま〜〜〜す。今回はバーの接着やネック成形、全体の組立〜完成までいっきに御紹介。

 

# イッキといえばこないだ学生(ワカモノともいふ)と酒飲みに行く機会があったんですが、いきなりテキーラで...... イッキ!イッキ!イッキ!..... ヒ〜〜〜! たむから勘弁してくれぃ! ワシはそこまでワカくないのよ....... 腎臓こわすぞ〜! う〜〜ん......(@_@) 

 

 

 

(11)さ、さて、気をとりなおして今回は裏板と表面板にバーを接着してハコにしていく作業からです。バー配置とはいっても御覧のように並行に渡してあるだけの単純な構成です。今回無料配布しているPDFの図面も御覧いただけばおわかりでしょう。表面板のバー配置も似たようなものです。参考にしたフレデリック・ヒンツの楽器はバーは表面板も裏板もすべて並行に配置するスタイルですが、プレストンなどは表面板のブレイスを「ハ」の字型に配置したりといった例があります。

 

# それにしてもワカイといふのは素晴らしい ... 元気の質が違います ... 。

 

 

(12)バーの両端はモダンギターや19世紀ギターのような丸くスカロップしたものではなく直線的にカンナをかけて勾配をつけます。いちばん重要なのは表面板で最もヒールに近い位置の短いバーです。これがないとネックがおじぎをしてしまいます。

 

 

(13)バーはたくさんありますがクランプするための治具は数に限りがあるので順次交換しながらすべてのバーを表面板と裏板に接着していきます。バーの接着剤が乾くまでのあいだにいくつかのパーツを作っておきます。このへんの作業は行程のあいまをみて行えば効率よく作業が進みます。エンドピンや弦の留め具は本来象牙が一般的ですがここではツゲを用いて木工旋盤で削りだしています。また、写真には写っていませんがヒールのカバーも象牙で作っておきます。

 

(14)今のうちにボディの厚さ(側面板の幅)を決定します。そしてブロックのほぞとネックの突起部分を調整して仕込み角度を「おおむね」決めておきます。最終的な微調整はボディが組み上がったあとに行います。

 

(15)ようやくすべてのバーを接着して、バー両端の長さを切り詰めたら表面板とボディを接着します。

 

(16)ということで、またも待ち時間が発生しますのでこのあいだにヘッドプレートとヘッドの接着、それから指板のフレッチングと先端形状の切り出し(シターン独特のカーブ)、サンディングブロックによる指板のラウンディングなどを行います。シターン族あるいはその派生楽器の指板はたいていの場合ラウンドしているのです、これは重要なポイントですぞ。今回はあまり極端なRではありませんがフラットな指板材料からサンディングしてラウンドさせるのはじつに手間暇がかかります、ゴシゴシ......... 。

 

 

# こないだ生まれてはじめて人間ドックなるものに行ったんですよ。渋谷の某医療センターですが、看護婦さんたちが(正確には看護師でしたっけ、いや、このさいそんなことはどうでもいい)みんなワカクてカワイイ! 年輩の、おっと、ベテランの看護婦さんは一人も見あたらずちょっと不思議......。みんなワカくてモデルさんみたい。最近の病院のイメージ戦略? それとも御色気作戦?でしょうか。私なんか簡単にひっかかりそうです。毎年来ようかな?

 

 

(17)指板にフレットの溝を切ります。そのあと少量の両面テープ(写真は多めだけど)でネックと仮接着させてカンナで削り、指板幅をネックに合わせておきます。これらの作業手順ですが........ 私の場合はどの行程で指板を接着するか、フレットを打つか、といった順番がそのつど楽器によって変わります。このへんは支障のない範囲内で自分のやりやすい順番で作ればいいのです。

 

(18)あて木をして指板をネックに接着します。接着剤が乾いたらフレットを打ち、その縁をヤスリで落とします。シターン族のフレットは基本的にバーフレットですが、今回は21世紀なのでモダーンなT型フレットを使います。耐久性も充分。だんだんネックらしくなってきました。このあとにペグ穴を開けます。

こういったオリジナルのデザインではわずかなヘッドの長さや指板の幅などが全体の印象を左右するので、作業を進めながら緻密に形状を補正していくほうがうまくいきます。カッコ良く仕上げるには全体のバランスが大事なんです。わずかにヘッドの長さを短縮したり、ネックの幅を削りながら作業を進めます......。

 

(19)さて、こうやっているあいだに表面板とボディが接着されたようですので今度は裏板を接着します。接着剤が乾けばシターン型のハコのできあがり。ここでネックの仕込み角度の最終調整を行います。このテのスタイルでは指板高域の先端は表面板に接着しません。指板と表面板が接着する場合は表面板にふくらみを持たせておく必要があります。ネックの角度とのかかわりによるものです、賢明な読者の皆さんはおわかりですね。18世紀のイングリッシュ・ギターでは12フレット仕様が非常に多いのですが15フレットや17フレットまで備えるものもあります。

 

# その看護婦さんたちは驚くべきことに受付けをした受診者全員の名前をフルネームで覚えているのです(ちゃんと顔と名前が一致するのだ)。フルネームで声をかけられるとドキドキする私......。おそらくこの医院の方針でありましょう。しつけというか作法が行き届いているようです。ウチの学生のように「イッキ!イッキ!」もやらんでしょう。そして受診のあいだじゅうエスコート係といいますか過剰ともいえる案内役といいますか、常に私につきまとってくれるのです。あぁ!迷惑!迷惑!...... とっても迷惑でウレシイ!

 

 

(20)ネックをサンディングしてなめらかに仕上げ、スピリッツ用の顔料とセラックで染めます。作業前にしっかり下地を作っておかないとあとで修正大会になっちゃいます。顔料は混合して端材に試しながら少しづつ目標の色に合わせていきますが、最後にクリアなセラックをコートするのでやや濃い色に仕上がる傾向があります(しっとり濡れるわけですからね)。はい御覧のとおり。 工房CRANEのグロッシー仕上げ。

 

(21)ネックとボディをニカワで接着します。

 

(22)各種パーツを加工しつつ、装着して調整していきます。まずはボディ下部の象牙トリムです。これもシターン族には欠かせないパーツです。弦をボディ底部にピンで留めてこのカドを経てブリッジにのっかるわけですから摩耗によってボディが破損しないために重要です。象牙でなくともかまいませんが金属弦に耐えるような材料が良いでしょう。ブロックはこの幅よりも広くなければなりません。そして弦を留めるためのピンとエンドピンを打ちます。

 

 

# しかも、眼底圧検査の順番待ちでソファーに腰掛けて待っている私に対して(注:もちろん私だけではない、他の受診者に対してもそうだ)、話しかけてくるときは看護婦さんはみんな片ヒザをついて語りかけるのだ、決して高い位置から話しかけないというワケである! まるで「御主人様、次はバリウムでございます。」みたいな ........ なんと従順な! おぬしはくのいちか!? その態度、気にいった! 明日からワシの家来になりなさい。

 

 

(23)ヒール部分に半月状の象牙のカバー(キャップ)を接着し、ストラップ用のピンを打ちます。

 

(24)裏板 そういえばまだブリッジを作っていませんでしたね。黒檀の角材からモデルとした楽器のブリッジを写しとります。厚さ調整は両面テープを作業台に貼り付けてカンナをかけます。糸ノコでおおざっぱに、やや大きめに切り出しておき、実際の表面板にサンドペーパーをあてて足の密着度を高めます。テンションがかかるとやや足が開くので、最終的には弦を張ったのち再調整します。

 

# あぁ! 人間ドックって素晴らしい!

 

 

(25)さて終盤です。ペグに穴をあけ先端をカットして磨きます。弦を張って調子を合わせたのち染めます

 

(26)最後にボディの塗装。黒檀にセラックで光沢仕上げはいかがなものかと思いまして、ひとまずTru-Oil を使ってみましたが、今回はあれこれ塗装をやりなおし、最終的にはダンマル・ガムと蜜蝋その他モロモロで仕上げました。


 

調弦

 

【張力:テンション】

あれこれ試した結果、Concept-2 は平均テンション4kg前後(オクターブ弦除く)で良く鳴るようです。音量・音色・伝達性についての実験結果です。キーをどこに設定してもかまいませんが合計テンションを超えないように弦を選べば楽器を破損することなく最大限の能力を発揮するでしょう。2コース、3コース、4コースは複弦ペアで合計7kgを超えないように選んだほうがいいでしょう。ここにテルツ調弦の例を掲載しておきます。つまりギターにおけるG調弦です。

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【CONCEPT-2】

弦長:445mm 合計31.1kg 平均 約3.8kg A=440Hz

1コース 1弦(g1) :フロロカーボン(シーガーフォース10号) 0.52mm 4.6kg

2コース 2弦(d1) :フロロカーボン(シーガーエース14号) 0.62mm 3.7kg
2コース 3弦(d2) :ナイロン(SIGLON) 0.33mm 2.4kg

3コース 4弦(a#) :フロロカーボン(シーガー22号) 0.78mm 3.7kg
3コース 5弦(a#1) :ナイロン(SIGLON) 0.37mm 2.0kg

4コース 6弦(f) :ProArte Light Tension 4弦 (ガット1.36mm相当) 4.6kg
4コース 7弦(f1) :ナイロン(SIGLON) 0.52mm 2.3kg

5コース 8弦(c) :ProArte Light Tension 5弦 (ガット1.65mm相当) 3.8kg

6コース 9弦(G) :ProArte Light Tension 6弦 (ガット2.30mm相当) 4.0kg

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市販のエキストラライトテンション(またはエレキギターの090セット弦)の弦であれば1弦〜6弦の太い弦はそのまま張れ、一般のギター調弦(プライム)で演奏できますが金属弦に対して木ペグでは微妙な調弦調整が困難です。 従って、おそらく上記のカーボン弦とナイロン弦の組み合わせがこの楽器ではいちばん良く鳴ると思われます。弦の入手のしやすさを考えても上記テルツ調弦がベストでしょう。オクターブ弦(3弦,5弦7弦)は現在ナイロンで組んでありますがカーボンに置き換えれば金属的な響きになります。また、複弦をユニゾンで張ることもできますが、その場合は3弦,5弦7弦はそれぞれ2.5kg以下に設定したほうが無難です。なんたって厚さ1mmの薄い黒檀.......。

 

 


ふりかえって

製作期間は3週間と、私にしてはとても速い作業でした。ヒストリカルな部分にこだわらなければこれぐらいのペースで製作できるわけです。むしろ最後に弦選びでさんざん迷って、あれこれ試しているうちに時間はどんどん過ぎていくといった印象でした。複弦をユニゾンで張るかオクターブで張るかも微妙なところで、まぁ、私はオクターブを好みますが結論としては曲によって使い分けるのも良しとします。

このページの冒頭のサンプル曲をお聴きになりましたか? ちまたに多く売られているいわゆる「やさしく弾けるギター名曲集」みたいなものがありますよね? それらには名曲が多いものの、たいていはオーケストラやピアノ曲やアンサンブルの原曲を簡単なアレンジでギターに編曲したものがほとんどです。そして多くは実際にギターで弾くとつまんない......。楽器の魅力は音色や響きにあるのだと思います。Concept-2 開発の目的はそういった単純なアレンジ(難易度の低い)の名曲の音色を豊かに弾いて楽しみたいというのもひとつの狙いであったわけです。

材料を黒檀にすると響きが高音側に偏るような傾向がみられますが材料としてはやはり硬すぎるのかもしれません。むしろ弦の張りかた(調弦のしかた)をシターン風に変えるほうがこういった材料の楽器は鳴るのかもしれません。一般のシターン族の楽器のようにスプルース表面板を試してみる価値はありそうです。金属弦については中世から永く用いられてきた木ペグのシターンは調弦がたいへんだったと思いますが何かコツがあったのか謎です、昔の人はどうやってたんでしょうね? 張力が低かったのかもしれません。弦楽器で糸巻きは最も頻繁に触れる可動部品だけにこれも大きな問題です。

弦長が短いので全体は小ぶりで持ち運びもらくでしょう。木ペグや小型といったコンセプトは前作 Concept-1 を受け継いでいますが今後はボディサイズについてはもっといろいろ試してみてもおもしろそうですし、リゾネータのような構造も再考するつもりです。

次回作 Concept-3 も御期待あれ...... 。

 


by Makoto Tsuruta, TOKYO JAPAN.

 

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