Made by Makoto Tsuruta in 2009.
PIC 001 : ヘッドはもとの6コースから6単弦へのコンバートです。当時もよく行われました。
スペインの18世紀様式 6 単弦ギターベネディット ヒストリカルコピーモデル
(Histrical copy model: Joseph Benedid 6strigs model. )
【写真】
PIC 002 : 表面板はフラッシュフィンガーボード。つまり高音域には指板がありません。6コースとほぼ同じ構造です。
PIC 003 : ブリッジとアラベスク/マウスターシェは難しく根気のいる細工です。
PIC 004 : ボディは貴重なスパニッシュ・シープレス。塗装はセラックとオイル。
PIC 005 : ケースも当然ながら特注品。2つ同時に注文したのですが、なぜかこちらはちょいとイビツなカタチです(笑)。
スペインの18世紀様式 6 単弦ギターベネディット ヒストリカルコピーモデル
(Histrical copy model: Joseph Benedid 6strigs model. )2007年4月製作開始〜2009年6月完成
仕様は6コース(12弦)モデルとほぼ同じです。
● 6 単弦ギターベネディット ヒストリカルコピーモデル (2009年6月完成)
6コースのベネディットギターを19世紀当時にみられた手法で6単弦にて再現したモデルです。非常に希少な材であるスパニッシュ・シープレス、ネックとヘッドはスパニッシュ・セダーが用いられています。そして装飾モデルとあって特徴的なアラベスク表面板とフラッシュフィンガーボードのインレイ、いずれも手間と緻密さと技巧を求められるつくりです。ボディ内部のブレイスやバーもオリジナルに忠実な構造で、音の鳴り方も1812年のそれと遜色無い高いレベルにあります。19世紀当時、12弦6コースから6単弦の改造も頻繁に行われたわけですが、今回の楽器も同様で、ヘッドの裏側を見ればわかるとおり、当時の改造スタイルを踏襲したものになっています。
センシティブな楽器のため、モダンギターのように右手に力をいれて弾くと、むしろ逆に鳴りにくくなるため、脱力して楽器と弦の味わいを確かめるように奏でる、それがこの楽器の正しい弾き方といえます。スペイン楽器ならではのふくよかな音色と充分な音量、歯切れ良い和音、輝くようなメロディを奏でます。
19世紀ギターとしてはフランスやイタリア、あるいはイギリスやオーストリアといったヨーロッパ各地のスタイルのどこにも無い、独自の世界を築いていたスペイン。材料も構造も音色もユニークですが、現在ではオリジナル楽器はもちろん、それを忠実に再現したレプリカですら、なかなか見ることができません。このスタイルの楽器を作る製作家が極端に少ないことに加え、オリジナルの現存数も少なく、資料も限られているのです。そのため残念なことにどうしてもレプリカはモダンな仕様で作られてしまうことがほとんどなのです。 東京ハンドクラフトギターフェス(THGF)2009において、私のCRANEブースに展示しました。好評をいただき、その後、塗装の続きを終えてようやく2009年6月にホントの完成となりました。
2005年にオリジナルの楽器を入手して以来、その修復・録音、フルコピーの製作、そして単弦モデル製作、これら3部作でベネディット・プロジェクトは4 年間に及ぶシゴトの完了です。
以下に3兄弟を掲載しておきます。
by Makoto Tsuruta, TOKYO JAPAN.
記事:2010年3月1日