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書名:J.S.VUILLAUME


 書名:J.S.VUILLAUME (Sa Vie et son Oeuvre)
 発行:W.E.HILL & SONS LONDON (1972) / Richard Clay,Ltd.,
 著者:ROGER MILLANT
 ISBN:-
 価格:古書

●ヴァイオリン製作家J.S.VUILLAUMEに関する文献。巻末に写真資料(モノクロ)が80ページ。VUILLAUME 一族について調べるならこの一冊は必見。パガニーニとベルリオーズのサイン入り19世紀ギター(GROBERT/グローヴェル)も見えます。おおむねA4よりひとまわり小さいサイズ。およそ280ページ。ぬわんと、この1冊にフランス語と英語とドイツ語の3カ国語で記述されています。

 

●VUILLAUME一族のJ.B.VUILLAUMEにかかわる話をひとつ。パガニーニが2度目のパリ訪問の際、ギターを入手しようとJ.B.V さんに会いにいきました。J.B.V 氏は良いフレンチギターを調達することができて、それをパガニーニに与えた(本書では貸したと記述)といいます。そのギターは良くできていて内部に GROBERT A PARIS のサインがありました。パガニーニは感謝の気持ちとして表面版にサインをしました。のちにこのギターはベルリオーズが所有することになりますが表面板にベルリオーズ自身のサインを書き加えています。てないきさつで、パリのコンセルバトワール博物館にパガニーニとベルリオーズのサイン入り19世紀ギターが展示されています。

ところで、J.B.V 氏は1850年〜1860年の期間に Grobert(グローヴェル)という事務係を雇っていまして、J.B.V 氏の事務書類のほとんどには彼が署名していました。このことから、この本の著者は「パリの無銘のギターにグローヴェルという同名の事務係がサインしたものと考えられないでもないでもないとは誰が言えよう!?」と何やら怪しい説を臭わせています(笑)。まあ、たしかに本書には当時の事務係グローヴェル氏によるサイン入りVUILLAUMEの伝票が掲載されていますし、当の博物館のギターにはラベルではなくサインがあるのみ...のようですがねぇ....。

 

備考:こういったパガニーニ、ベルリオーズのサイン入り19世紀ギターは、じつはかなりの本数が現存すると言われており、必ずしもパガニーニなどが所有していた楽器とは限らず、推奨サインのようなものであったともいいます。何しろ、両者とも当時のちょ〜有名人ですのでおそらくは本人の直筆サインの楽器に加えて後世に贋作(というか現代でいうアイドルのニセサイン)もいくつか作られたとも考えられます。

 

 


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