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 ナットの加工と取り付け  ナットクナット〜

 

ボデイ、ネック、ブリッジ、ペグボックス.....皆様お揃いのようですから、最後のパーツ「ナット」にとりかかりましょう。私は九州の生まれなのでナットウはちょっと苦手。だいたい私の田舎(鹿児島県のはずれ)ではお店で売ってなかったのです。高校を卒業して進学で上京したときに学生食堂でナットウを見かけたときの私の驚きをご想像ください、「おお! こいが、バアちゃんの言うとったナットウばい」と、なぜか熊本弁で驚嘆したものです。それまでテレビや雑誌で見ていた異次元のオカズは東京以北では完全に市民権を得ており、白飯の伴侶としてはもとより、手巻き寿司はおろかサンドイッチやカレーの具として幅広く堂々と君臨していたのです。その学校の食堂では入学式直後ということもあって、いかにも「おのぼりさん」風のヤングなギャルたち(当然死語)がいとも当然のようにナットウにカラダを許しているではありませんか! あああぁ〜〜なんてことだ....こんなことで日本の将来はどうなるのだ?.......。ほんとはカノジョたちも四国や山陰地方の出身に違いありませんが「ナットウはちょ〜基本じゃん」といわんばかりに糸を引きつつ食するみなさん.....流行のファッションとお化粧がやけにアンバランスなお嬢さんたちでありました。それを横目で見ていた九州男児は「遅れをとらんと、はよ東京風にならんといかんどぉ....」と思ったのかどうか、現在では訓練の末?なんとかナットウを食べられるようになりました。ああ、恐るべき東京食文化、つらくはないわこの東京砂漠〜〜〜〜、歩いてゆける〜〜〜この東京砂漠〜〜〜.....。

で、何の話でしたっけ? え? ナット、はいはいそうでしたね。まあ、ちょちょいと切ってポンと付ければオシマイですよ、はい、サヨウナラ、わっはっはっはっ.....。

え〜〜〜〜〜、図面の寸法を参考に角材を糸のこで切り出しバリをとります。あまりしつこくサンディングしないほうがいいです、平面にすべきところが丸くふくらんでしまいますから。もしサンディングするならサンドペーパの下に薄いものを敷いてわずかにふくらませた状態で骨棒をスリスリします。やや窪ませておけばテンションをかけたときに押さえられて平たく密着します。ナットの材料は必ずしも骨でなくてもかまいません、黒檀などの棒材の場合もあります。

 

ナットの付き方も時代やスタイルによって様々ですが一般にリュート系の楽器ではこのように指板とネックの一部とペグボックスとが重なっているのが一般的です。ナットは指板より若干広く作ります、そうしてネックのアーチに添うように削ってナットの両端を合わせます。

 

 

図面に弦のラインを書き入れつつ、以下の写真のように糸を張って確認します。

 

ナットの溝は複弦であることを考慮してペアで扱うわけですから溝の間隔や深さ、角度は微妙です。イザとなったら作りなおせばいいのですが慎重に作業しましょう。まずはエンピツでマークします。

弦高ですが、リュートでは(といってもフレットを持つ弦楽器で全般にいえることですが)8フレット位置において確保すべき高さ(フレットの上部から弦の下端の間隔のこと)は次の式を参考にすればいいでしょう。例えば600mmの弦長の楽器なら2.52mm以上の高さに調整します。ブリッジの穴位置とナットの深さを決定する際の参考にしてください。

 

   弦長(mm)  X  0.0042  =  最低高さ(mm)

 

あとはナットに切る溝の間隔をけがいておきます。

 

ナットフィルで溝を切りますが指板に並行ではなくやや仰角をつけて切ります。必ずナット専用のヤスリを使います。そうしないと先端が三角のヤスリでは弦がすべらず調弦が著しく困難になって使いにくい楽器と化すからです。たったこれだけのことですが使用感はまるで違ってきます。あなたの使っている楽器(ギターやリュートなど)で調弦がうまくいかない場合はまずここをチェックしてみるといいでしょう、ちゃんと調整されていればグリスなどは不要です。

 

 

さて、こんなもんでしょうか? 5コース目と6コース目には巻弦を張ることにしましたのでやや太い溝です。4種類のナットフィルを使い分けて切りました。

 

 

長かった工作もここまでです! あとは塗装と最後の調整!

 

 


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