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 表面板接着  工房はヒモを選ばず?

 

さて、ヒモ、ヒモ、ヒモ、ヒモ.............ん?..........ないっ?! う〜〜〜〜ん困った、ヒモが無いぞい! さんざん探したあげく荷造り用のビニル紐が出てきました(笑)。みなさんは「こんなんでうまくいくんかいな?」と思われるかもしれませんが、天災、いや、天災、おっと、天才製作家は筆を選ばずぢゃっ!(いつから天才製作家になったのよ?)

 

えいやっ! というわけでニカワを小筆でトフトフと塗布して素早く巻き上げます。接着するまえに濡らして絞ったタオルで接着面をきれいに拭いておいたほうがいいでしょう。巻きはじめはネックから....そして対角に巻きながら最後はやはりネックに巻きつけて固定します。もちろん写真を撮影しているバヤイではないのです、私も目が真剣です、ホラ! @_@

 

ニカワはすぐに乾きはじめるので、準備段階で作った木片を手早くブスブスと挿していきます。巻き終えて接着面を見るとややニカワ層が厚めに見えたのであせりましたが、この木片を挿すことで完全に密着できました。リュート族の楽器はまるっこいボデイ形状なのでこれにヒモをかけるのは容易ではありません。麻ヒモのほうが滑りにくいのですが今回は準備で施しておいた爪欠きがうまいぐあいに作業を助けてくれました。以下の写真の左端を見ればわかるようにリブと表面板の接合部には必ず1個の木片を挟みます、そうしないとヒモの張力でリブの角度が変わってゆがむ恐れがあるからです。

 

はい、これは乾いてヒモをほどいているところです。まあ、巻き始めるときもこのような状態を想像してください。

 

ヒモが巻いてあるうちはニカワを拭き取るのが難しいのです。あとでスクレーパでていねいにはがします。

 

 

まずはノミで表面板の余計な部分を落としていきます。ノミをあてる方向に要注意です、木目方向を誤ると表面板の内側まで削ってしまいますので。

 

おおむねボディの輪郭が成形されたなら保護厚紙をはがしてみましょう。どうですか? うまくいきました? 隙間はありませんか?

 

保護厚紙を小さめにハサミでカットしてここで再び紙テープで貼っておきます。まあ、用心しながら作業すれば表面板を傷付けることはないとは思いますが、念のため.........。スクレーパはよく研いでおかないと気持ちよく作業できませんぞ。

 

キャップの斜めになっている先端部分は「表面板の表面」で収束するように削るのが作法です。

 

 

完成を急がず、あわてず、じっくり作業します。ルネサンスリュートはこれでボデイ加工は完成で、ビンディングを付けないのが普通ですが、バロック期のリュートではハーフビンディングを付けることが多く、その作業については引き続きこのあとに説明しましょう。

 

さささ! ハーフビンディングの行程へ!

 

 


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