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 7. ロゼッタ彫り  木目方向を意識するのが鉄則

 

はい、ローズ、ロゼッタ、ローゼッタの加工のお時間でございます。現代のクラシックギターと違ってリュートの多くはおおむね同じようなパターンのデザインが使われることも多いです。バロック後期にはかなりロゼッタのデザインも多様化していきますが、ここでは当クレーンホームページで掲載・配布している「ロータス1・2・3」パターンを使うことにします。なお、これらはたいていのリュートでお使いいただけます。


小型のリュートの場合は標準的なロゼッタサイズ(94mm)の半分の直径を使います。94mmの中心部分を使えばいいのです。お手元のプリンタで出力して定規でサイズを確認し、カッターかはさみで切り抜きます。印刷する紙は光沢紙ではなくフツ−のコピー紙のほうがよいでしょう(理由は後記)。

なお、モデルとなったオリジナルのマンドリーノは1735年のもので、この頃にはすでにロゼッタもサイズや模様は様々なものが作られていたようですので、採寸時のロゼッタサイズもPDFの図面には書いておきました。

 

 

で、切り抜いたコピーをここにそのまま貼ればいいと思ったら大アザラシですよ。表面板はこの楽器では1.8mmの厚さになっています、ロゼッタの円形部分はたいていのリュートでは約1mmの厚さで製作されます。そこで........

 

ロゼッタの部分のみを1mmの厚さにせねばなりません。彫刻刀で彫るなどのいくつかの方法がありますがここでは紙ヤスリで削ってピッタリ1mm厚にしました。円柱状のブロック(なければ小づちとか)に丸く切り抜いた紙ヤスリを接着したものでグリグリやります。まえもってデザインナイフで円形部分は切り込みを入れておきます。サークルカッターでそのまんまぐるりっ!とやっても真円には切れないのが普通です。

 

 

さて、どうですか? こまめに厚さを計測して削ります。ロゼッタの渕が直角に削れないかもしれませんが、最初にやや小さめの直径でこの作業を行い、あとで正確なサイズにデザインナイフで径を大きく切ってやってもいいでしょう。このへんはみなさんも試行錯誤してみてください。

 

 

照明をあてて(あるいは日にかざして)見ると、その薄い部分がおわかりいただけるでしょう。

 

 

ここにタイトボンドを水で希釈したものを塗ってさきのロゼッタパターンを接着します。このときロゼッタパターンがさきの1mmの窪みにピッタリと納まるようにします、なおロゼッタパターンは完成後もはがさずそのままリュートの内部に接着されたままになります。コート紙や光沢紙によってはのちに剥がれる恐れがあります。ニカワは堅すぎるので使いません。

 

さぁ〜〜、はじまりはじまり...。デザインナイフは45度と30度程度の異なる角度の替え刃を準備します。このへんの詳しい話は「楽器製作工具」のコーナーも御覧ください、ロゼッタの彫り方の説明も書いておきましたので。まずは中心部から「抜き」の作業です。下にカッティングマットを敷いておきましょう。とにかく木目を常に意識して作業します。垂直のつもりでも傾いて抜いてしまうことがあります、まずはていねいににゆっくり作業することをオススメします。何事もあわててはイケマセン、あわてては......。

 

そうです、慎重にやるのは大事なことです、酒に酔った勢いで力まかせに押し倒したりしてはあとで後悔します、「ああ、こんなハズじゃなかった、よりによってこんなヤツと.....本命は他にいたのに......」。

 

ふぅ.....最初は緊張してなかなかはかどらないかもしれませんが木目に逆らわずこまめに板の向きをクルクルと変えつつ作業します。

 

 

作業中に刃が折れることがありますが、面倒くさがらずに破片を探し出してテープなどに接着して破棄してください、キケンです。

 

 

ときどき表側からチェックします、まだこの写真では大ざっぱです。あとで修正します。

 

 

抜きの作業を終えるところです。そして彫りにはいります。

 

植物の花や葉、茎をかたどったパターンですから、もう少し細くしてもよさそうですね。あ〜〜〜楽しい。

 

 

まだ未熟かなぁ〜〜? 繊細さはあと一歩? いちおうロゼッタの完成ということで。ロゼッタ彫りは別の板で少し練習してから本番に挑むほうがいいかもしれません。

 

 

 

なんだかんだいいながらロゼッタの彫りを終えます。

 

 

 


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