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 25. ブリッジ  穴空けとボタン加工

 

ブリッジに弦を固定するピンを差しますが、径を合わせて穴を空けねばなりません。このとき小さめの穴を空けてから最後にリーマでピッタリに合わせます。まずはサドルに弦の位置を鉛筆でマークしてピンの軸径をノギスで計ります。たいていは直径4.5mm程度を使います。

 

ブリッジに穴を空けるには私は木工用ハンドビットを使います。これもヘッドのペグ穴加工と同様に必ず両側から穴を空けます、そうすればバリが出にくいです。ピン穴は以下の写真のように傾きを与えないと弦を張ったときにすっ飛んでいく?可能性があります。じつはワタクシ、某ショップで19世紀のオリジナル楽器のピンが飛んでいくのを見たことがあります。写真に写っている長いテーパのついたビットはバリ取り用です、今回は使っていません。手で固定するよりもバイスで挟んだほうが安全ですが、角度を常に確認しながらの作業なので工夫が必要ですね。

 

ピンのテーパはちょっときついです。たぶん20:1ぐらいだと思うのですが私は手元にあるなるべくテーパの近いリーマでピン穴を拡張しました。これも実際にピンをときどき刺しながら作業してピッタリの深さに合わせます。

 

そして弦をひっかけておくための溝を掘ります。専用ノコで切って精密ヤスリかラインヤスリで細部を仕上げます。19世紀のギターのなかにはこの溝を切ってないものも多いです。

 

つまりこうなります。この弦をひっかける溝が有るのと無いのとでは大違いなのです。

 

ブリッジの残りの部分は両脇のボタン(装飾)です。本来は黒檀を使います。ここで正確に加工するための治具を作ろうかとも思ったのですが量産するわけでもないので慎重にハサミで固定しちゃってルータで穴を空けました。みなさんはマネすることはありません(笑)。ミニバイスがあればそれを使うべきです。

 

この作業工程はもっとたくさんの写真が撮影してあるのですがキリがないのでこの程度にしておきます。ボタン中央に装着するのは丸い貝です。広い貝の板から切り出してもいいのですが、ここだけ既製品に頼ってもよしとしましょう。最後は黒く着色してやればいいのです。接着は最後の仕上げと調整のときに行います。実際のオリジナルラコートのこの部分もじつは年代やモデルによってはいくつか異なるのです。このコーナーで最初にお見せした写真のラコートのボタンはじつに精巧にできていて二重丸◎とその中心に・を彫り込んであるという凝ったものでした。

 

ふぅ。

 

 


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