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 21. 塗装   やはり奥が深い

 

(4)本塗装です。たしかにスリスリやっていけばいいのですが、アルコールを多少加えて濃度を少しづつ下げていきます。セラックは塗るとすぐに乾きますのでひととおり塗って数分もたてば2回目を塗ります。これを約5回ぐらい行い、その日はやめて乾かします。翌日同様に行いますがさらにメタノールを加えて濃度を下げます。

 

これを数回繰り返すのですがあとは好みもあってどれくらいの塗膜にしたいのか、どれくらいの色具合にしたいのかなどによって個人差があります。ここで紹介しているのは私のやりかたのひとつの例です。みなさんも各自研究してみてください。

 

じつは、この楽器はセラックの層を塗り重ねて仕上げていません。カシューをオーバーコートとして使うことにしました。私はカシューは薄めて使います。カシューは褐色ですから塗装するとやや木肌の色合いが濃くなります。上の写真と下の写真を比べてみてください。ちなみに私はカシューはハケ塗りしていますが手芸用のハケを使います、動物の毛でできたハケは毛が抜けるので使いません。

 

 

下の写真がカシューの塗装の約3回目です。塗装時には換気に気をつけましょう。あと、楽器の下に何らかの敷物をしたほうがいいです。私は布かセーム革を敷いています。

 

 

 

【ハケが乾いて堅くなる?】

楽器の塗装に限らず一度使ったハケを次の塗装までとっておくと堅くなってしまい、場合によっては使えなくなることもあります。いわば、ダンゴ三兄弟が戸棚で昼寝していたら堅くなっちゃったというのと同じです(さっさと喰わないからだよぉ〜〜)。

さて、そこで出ましたハケ洗い液。私はコレ無しでは塗装ができません(ウソ)。気に入ったハケはずっと使いたいのですよ。上の写真に出てくる手芸用の絵筆は高価だったのであります。あなた!まさか堅くしちゃって使い捨てではないでしょうね?

ハケ洗い液:(株)アサヒペン 400ml 680円 カシューのような油性塗料(ラッカー系をのぞく)のハケを洗うための専用液。うすめ液ではないので間違えないように。このハケ洗い液はなかなかのスグレモノ!わずかな量で確実にハケの塗料を溶かします。ガソリンの臭いがたまらない(笑)。もち、クレーン推奨品★★★★★。 

 

 

(5)さて、研磨を行います。今回は塗装にあたってメイプルのツキ板が塗料を吸収して暴れるので苦労しました。ですから若干のデコボコができているので、これを平滑にするには塗膜を厚くすればいいのですが楽器としては好ましくないと考え薄いままにしてあります。ちょっと工夫が必要です。さて、研磨には湿式と乾式があります。水研ぎしながらサンドペーパーの番手を#1000ぐらいから上げていき最後にコンパウンドのような研磨剤で磨く方法が一般的かもしれませんが、ここでは乾式のマイクロメッシュでひたすらサンディングして水を使わない方法にしました。マイクロメッシュについては国内でもお店によっては扱っているはずです、私は海外から個人輸入しました。まず#1500からはじめて#3600、#8000、#12000のような順番で研磨していきます。必ずウレタンのブロックを使います。

 

番手を上げていきます。#8000ぐらいでかなり滑らかになり#12000でツヤが出てきます。

 

ネックも同様です。塗装と研磨作業では下に敷物をしたほうがいいです。

 

あとは最終仕上げとして研磨剤(コンパウンド)で磨けばいいのですが、まだ他にもやらねばならない作業がありますのでポリッシングは最後の最後に行うことにします。ちなみに私は研磨剤はホセ・オリベのポリッシュを愛用しています。

 

 


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