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 14. ボデイの製作  側面板のベンディング

 

前にも説明しているように19世紀ギターではツキ板の内側にはスプルースを使うのが一般的でしたが今回のクレーンモデルではイチイの板材を使うことにしました。まずは表面をカンナでならし、図面をもとに適当なサイズにノコでカットします。

 

イチイはリュートでもよくリブに使われる材料です。軽いわりにはよく粘るので加工しやすく個人的にも好きな木材のひとつです。

 

さて、ベンディングですが、図面をもとに鉛筆で曲げのポイントをマークしておき、その周辺を濡らして絞ったタオルで拭いておきます。最初に曲げるのはウエスト部分です。肩とヒップの部分はあとから曲げます。現代のクラシックギター製作では黒檀の3mm厚の側面板を曲げたりすることがあるようですがそのような場合はお湯とかにザブンと浸けたり煮沸しちゃう方法もあるんだそうです。個人的にはギターの側面板は2mm以下の厚さで製作することがほとんどです....。まあ、今回は1.4mm程度の厚さにしてありますから曲げるには非常に楽です。

ちなみに二層の板を先に接着してから曲げる方法や、あるいは同時に接着しながら曲げる方法もあります。

 

はい、ウエストを曲げたところです。製作家によってはベンディングアイロンを横向きに寝かして使う人もいますが、いずれにせよ押して力をかけるので動かないようにクランプしておくのが基本です、そうすれば曲げ作業中にイライラせずにすみます。うまく曲げるには最初に面積の広いアイロン部分に押しあてて加熱したのちきついRをつければいいでしょう。多少間違えてもまた塗れタオルでなでてからすぐに曲げればいいのですがあまり何回もやりなおすのは木材の疲労につながるので好ましくありません。

 

写真のベンディングアイロンは当サイトの工具コーナーでも紹介しているものですがもともと120V仕様で150度〜220度となっていますので日本国内の100Vではたぶん最高でも200度ぐらいかもしれません。私は個人輸入しました、やや低めですがリュートやギターでは充分です。温度調整をツマミで設定できて内蔵バイメタルでおおむね一定の温度を保ちます。あまり温度を高くしてじっくりやりすぎると香ばしい臭いを伴って焦げます。焦げても程度が軽ければあとでサンディングすしてきれいになりますけど。

ちなみに現在日本の楽器店などでは海外から輸入できないそうです。どうやらPL法によって制限されているもよう。自作するには100W以上の電球と鉄パイプがあればOKです。

 

ウエスト部分の次は肩部分とヒップの部分を曲げていきます。製作記事のために写真を撮影しているとぜんぜんはかどりませんよ、ううう.......。

ベンディングアイロンは使い込むとかなり汚れてくるので私はたまにですがサンディングして磨いて綺麗にしてやります(笑)。

 

木型にあてながら、できるかぎり正確に曲げます。あとでどうにかなると思ったらオオマチガイです(じつはなんとかしたこともあるんだけど)。

 

というわけで両サイドが曲げ終わったところです。板は長めのものを準備しておいてあとでピッタリに合わせてからカットします。

 

木型に合わせながら側面板の長さを揃えます。ノコでも切れますが薄いのでカッターで切ることも可能です。切断面はカッターで根気よく切ったほうがシャープです。

 

 

いちおうカンナでならしたりなんかして.....。

 

さて、仮に接着します。あとで上下のブロックを接着しますが私はここでひとまず接着することにしました。ツキ板を貼ってからブロックとともに接着するという方法もあるようですが当時どのように作業していたのかが不明なため自分で工夫せざる得ません。作業手順についてはいつも悩みます......。

 

側面板の接着にはタイトボンドを使いました。そして接着面を押さえるためにひとまずヒノキの板材でバネとして支えておき、乾くのを待ちます。

 

今回、私は製作中に計量していることは前にも書きましたが、以下の状態の重量は94gしかありません。

さて続きへ.....。

 

 

 


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