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 6. 表面板切り出しと接着  カンナがけと接着

 

楽器を製作するのにどの手順で作っても完成はしますが、ひととおり全体の進行を把握しておけば、接着・乾燥しているときに他の作業を行うことができるので製作時間を有効に使うことが可能となります。場合によってはパーツを作って部分的に塗装してからあとで接着したほうがいいこともあります。


さて、まずは表面板に取りかかりましょう。私は5mm厚程度のスプルースを購入しましたのでまずはこれを表面板として適切な厚さまでカンナがけする必要があります。自動カンナ盤を使う人もいますがものすごい轟音で場所もとるのでまあ職業としない限りは必要ないでしょう(便利ですけど)。たいてい表面板は2枚ペアになって売られていますのでそのペアをカンナがけします。今回のラコートモデルのようにツキ板を使う場合は表面板のほかに裏板のペアも作らねばなりません。

カンナがけはガッチリした作業台が好ましいのですが、無ければ以下のような組立式の作業台(なんらかで固定しないと作業は不安定)でもいいでしょう。写真のものはD.I.Yショップで3500円程度でした。私はこれとは別に木製の大きな作業台も持っていて現在はそちらをメインで使っています。

多くの製作家はここでほぼ厚さを決めてしまうようですが私の場合はいったん3mm厚にしておき、あとで表面板の形状に合わせて部分的に厚さを変えて削りなおすようにしています。シックネスゲージがあれば厚さの確認に重宝します。

ペアの2枚を重ねてクランプし(大きいクランプがいいでしょう)接着面となる辺をカンナがけします。このとき切削面同志が直線になるのではなくわずかに弧を描いているようにします。あとで接着するときに両側からクランプをかけ圧着する際に密着しやすいからです。概略図は次の通り。

鉛筆で墨付けします。ここではおおむねのシェイプでかまいません。クラシックギターで大きなものは木材のサイズ(幅)が足りないこともあるようで、私の購入したスプルースのなかにはいくつか墨付けの痕跡がありました。木材に書き込む鉛筆は8Bの濃さのものを使っています、HBだと跡が残るからです。シャープペンシルは0.9mmと0.5mm芯用の2本を常備しています、いずれも8Bです。平面を持つカンナでどうして弧がつけられるんじゃい?と思われるかもしれませんが力のかけぐあいで可能となります。クランプ(写真)はもちっと大きくてガッチリしたものがいいでしょう。

 

接着は長いハタガネを3本準備してその上にペアの表面板を並べます。ここはニカワではなく私はタイトボンドを使います。この部分は修理での加熱に対して剥がれにくいほうがいいと考えているからです。

接着・乾燥中は以下の写真のように本をのせておきます。こうすることでペアの板が反るのを防ぎます。

この状態で丸一日放置、あ、いや、厳重な湿度管理のもとで(ウソ)乾燥させます。

 


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