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■ ボディの塗装
● ふぅ............やっとこさ塗装にこぎつけますよ。こんなことやってたら夏が終わっちゃって、浜辺の彼女はウクレレを弾いて聴かせる前にとっとと帰っちゃいそうですよ........トホホ....。 待ってくれぇ〜〜〜! 今から塗装すっからさぁ〜〜〜。もちょっとで完成してウットリするメロディで虜にしちゃうからさぁ〜〜、ねぇってばぁ〜〜〜〜.、帰るなんて言わないで待ってくりょ〜〜〜〜...................。
やたら遠回りして余計なコトばかりやってる鶴田を横目に、みなさんはさっさと塗装も終えていらっしゃるかもしれませんね。フンだ! プン! プン! ............と、怒っているわけではありませんが私自身もはやく完成させて浜辺で弾きたいのよ.......早くしないと水着姿のあの娘が家に帰っちゃうもんね。
ですが、ここでグッとこらえてボディ塗装に一工夫します(なんだ、また遠回りかぁ〜〜!)。全音社のウクレレキットはマホガニーであるわけですが塗料は付属していません。これはPL法によるもので工作の安全確保の意味でもありますが、ポジティブにとらえれば「色は勝手に決めて良い」ということでもあります。スバラシイじゃありませんか!
【塗装の前に】
下地塗装や染め作業も含めて、塗装にはいる前にやっておくことがあります。それは「サンディング」と「ボンドはがし」です。
ボディもネックも接着剤(ニカワもタイトボンドも)が付着しており、組み立て作業が終わったあとにサンディングしても接着剤は数カ所に残っているものです。自分でも気付かないうちに表面板やサイドに付着することも多々あります。私がやっている「ボンドはがし」の方法はタオルで水拭きして拭き取る(又はサンディング)するというものです。接着剤は吸水すると白濁するので光をあてるとすぐに発見できます。組み立て作業やサンディングで手抜きをしていると、こういった段階で時間を要するのであります......。
さあ、行きましょう。わたしゃ今までのウクレレはセラックでのナチュラル仕上げ塗装が主でしたが今回はひとつオリジナルカラーで迫ってみたいと思います。そうです、ここでみなさんのウクレレや「のみのみML」の連中に差を付けておけば浜辺では私の一人勝ちじゃ! ムフフフ.....。そういうワケで手元の顔料をいくつか組み合わせてオリジナルの色合いを調合します(セラックニスで溶かしてハケ塗りします)。顔料はヴァイオリン材料のお店などで入手できますがアルコール用とオイル用などがあるので選択には注意が必要です。塗装はヒストリカルな楽器の修理や製作ではじつにバリエーションの多い、深い世界なので今回は深く触れません(私もさほど詳しくないし)。
部分的にタンポと綿棒を使ってロゼッタの周辺は注意深く染めます。色はクレーン・カッパー・レッド そうです、かなり通好みかもしれませんがマホガニーの色合いを活かしたシブイ色です。これは年月を経て木材が変色するとより深い色合いとなるのです。
表面板は最後に染めました。サウンドホール周辺はやはりムズカシイですね。こうやって乾燥用のスタンドを作っておくと塗装中に手がツることもなく作業しやすいのです。治具のたぐいは面倒がらずに用意すれば快適に作業できるのであります。
ちなみにこの染め作業はセラックで行っており、塗装の下地と兼ねています。このあと本塗装を上塗りします。私の場合はこのパターンが多いのです。一般的にはアルコールニスの下地にラッカー系の本塗装を重ねるのは相性に問題があるといわれていますが私の場合は顔料や塗料の種類を選び、あれこれ塗って確認してから使っていますのであまり参考書のたぐいは読みません(つまり自分で試して確認したものしか信用しないってコトです)。下地もテンペラやサーフェイサ、シーラー、プライマーのたぐいはたくさんありますが科学合成された塗料では相性の問題が発生しがちなので、私の場合は下地剤は使い慣れて問題のチェックを済ませたセラックもしくはエッグテンペラしか使いません。ですからこのページをみなさんが読んでも塗装の参考にはならないかもしれませんので御了承ください。
で、今回はアクリルラッカー塗料.......スプレーやハケ塗り用がじつにたくさん市販されています。修理などではスプレーを使うことも多い私ですが今回はハケ塗りして研ぎ、ひたすら塗っては研ぎ...という作業にします。塗料メーカーではラッカー塗料を10%程度以上希釈するなと指定してあることが多いようです(塗りにくい)。ラッカー塗料はセラックとは比較にならないほど厚塗りしやすい(なりやすいというべきか)ので時間的には有利なのですが溶剤がイヤで私は個人的にはあまり使いたくありません(臭くて頭痛がするのです)。最近は環境への配慮から水性のラッカーも数多く市販されていますので身近なお店で比較検討してみるのもいいでしょう。
速乾性の塗料でも完全に乾いて塗装膜が安定するには1週間(1ヶ月)以上かかりますが、組み立て作業をさっさと進めるにはおおむね1日〜2日乾かせば良いでしょう。乾いたように見えてもサンディングしてみるとサンドペーパーの重さ(すべり具合)が乾き具合でまったく違うことに気付きます。私は速乾性(超速乾20分でOKと記載されていても)塗料でもおおむね2日は乾かすようにしています、気長だなぁ........(笑)。
で、そんなかんだでラッカーを塗り.........のんびりしてたら写真を撮りそこねました。乾いたあとは次の写真のようにサンディングです。ここでは最初に240番あたりでゴシゴシやります。必ず木目に沿ってサンドペーパーを動かしますが照明をあてて塗装表面の状態をよく観察しながら作業するほうが良いでしょう。未乾燥の状態ではサンディングはシットリしてはかどりますが手にベタつき感が生じることもあります。完全に乾かしてサンディングすると今度はやたら堅くて大汗をかきながらの作業になります。ウクレレはボディサイズが小さいので比較的楽ではありますが......。
というわけで、1回目のラッカー塗装とサンディングを終え、布で研磨クズを拭き取ったところです。これを繰り返していけば塗装膜の厚みと表面の状態を塗りとサンドペーパーの番手で調整できます。私は塗装は決して得意ではありませんし、他のみなさんがどうやって塗装しているのかよく知りません。オマケに塗装の参考書も読んだことがありません。まったく独学なのでもっと楽してきれいに仕上げる方法があるのかもしれません............。
ちなみにこれが「染め」と「塗装」を行う前の色合いです。ヴィンテージ・ウクレレ風にオレンジ/アンバー系のセラックのみで仕上げることもあります(修理ではもっぱらそうしています)。
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