どうやったら楽器を入手できるの?

 

 ショップ

今回記事の中で御協力頂いたショップはいずれも都内の専門店であるギタルラ社、メディア・カーム、クロサワ楽器、アンダンテ、などです。お店の所在地等は「リンク集」のコーナーに掲載してあります。参考にどうぞ。海外のギター専門店やアンティークショップでも扱っていることがあります。ただ、多くの場合、価格は決して安くはありません。お店というのは個人売買と違って店舗の経営費用、人件費などが絡んでくるのでやむおえません。ただ、ショップでは補償やアフターサービスが期待できる点はオークションと違う点でしょう。

 

 オークション

日本で楽器のオークションに参加するにはYahooもありますが国際的には「サザビーズ」や「クリスティーズ」のようなオークション会社を使うというテがあります。カタログ(もちろん英語)なども入手できますし電話やFAXでもオークションに参加できます。モノによっては19世紀ギターも比較的安価(但し程度はまちまちのようです)で落札できます。オークションに出展される楽器の大半は傷んでいるのが普通なのでレストアは前提と考えたほうがいいでしょう。送料や関税も含めて修理費用も大きな負担となることを覚えておきましょう。オークションの参加自体や輸送の手続きも海外だと面倒ですが、使い方次第ですね。1997年ごろからインターネット上でも様々なオークションが急速に発展したために私も利用する機会が増えました。まあ、今後はこういったオンラインの方向に以降するでしょうね。

サザビーズやクリスティーズはインターネットの進化に対してどう出るかが注目されるところです。わざわざ高い年会費を払ってまでカタログ会員を続ける価値があると思いますか、みなさん?

2002年3月更新.:...なんて書いていたら2002年にはサザビーズもクリスティーズもホームページを開設して動き始めていました。予想したとおり......。

 

 個人売買

売りたい場合も含めて、この場合は専門誌に掲載とか、楽器店に委託するとか、ホームページ上で売買情報をつかむという方法があります。このクレーンホームページでも19世紀ギターの出物があれば紹介していますので「クレーンショーケース」のコーナーを御覧ください。ショップ価格よりもだいぶ安く提供しています。修理・調整もしっかりやっていますので安心です。

 

 インターネット(海外のショップ)

アメリカ、イギリス、フランス、スペイン、イタリア....ヨーロッパ.....世界各国のサイトで販売情報を私は日夜探し回っています。検索はたいへんですが数量としてはかなりあるようです....。もちろん日本語ではなくドイツ語やフランス語やその他非英語圏も多いのですが.....。価格はたいてい日本の楽器店の1/2から1/3以下が普通です。但し、いわゆる名器の場合は国内より高いこともあります。問題は交渉と決済と運送......怪しいホームページも無いわけではありません、リスクを伴うこともあるでしょう。用心してとりくみましょう。あと、国内の楽器店から購入するのと大きく違うのは、海外の楽器の場合は壊れたままの状態がほとんどということも覚えておきましょう。改造品も恐ろしく多いのです。修復の程度もまちまちです。購入後は修復・調整することも考慮に入れて資金を練りましょう。

 

 その他

ギター教室や古楽器関連の演奏家などの知り合いに相談してみるのも一案でしょう。古物商とか質屋さんとか民族楽器を扱うようなお店でも希にではありますが見かけることがあります....。以外と名器が破格のプライス! ということもあります。

 

 コピーモデル(レプリカ)

新品も入手できます.......楽器の耐久性を考えれば故障も少なく、比較的安心です。水原洋さん、田中清人さん、加納木魂さん、黒田ヨシマサさんなどが19世紀ギターを国内ではおもに製作されています。海外の製作家ももちろん多数健在ですので英語でのコミュニケーションが可能ならゲイリー・サウスウエルさんやイアン・ワッコーンさんから直接シュタウファーコピーやラコートコピーを購入することも可能です。現在世界中で約十数名の製作家が19世紀ギターのコピーを販売しているようです。あと、様々な製作家の楽器はタイミングが良ければ中古のコピーモデルを安価で入手できることもあります。ギター関連のニュースグループやメーリングリストなどに「求む」と呼びかけてみるのも一案です。

 

 


 

 楽器の扱いで気をつけることは?

 

 維持・管理など

高音多湿を避けるとか、基本的なことはほかの楽器と同じですが.........。

 

 極端に張りの強い弦(ハードテンション)を張ることは避ける:19世紀ギターではこれが原則です。とにかくモダンギター向けの弦をそのまま張ると楽器が壊れると考えたほうがいいです(ごくまれにですが例外的な楽器もあります)。一時的に調子がよくても数年のうちに表面板のワレ(これが最も多いようです)やバーの剥がれが生じる可能性が大きいのです。乾燥しがちなマンション住まいはとくに御用心。楽器のタイプにもよりますが張力は弦1本あたり4.5kg〜5kg〜6kgを基準に考え、延びの大きい1弦(E)だけは音の芯を考慮して6.5kg程度の強めの弦を選ぶといいでしょう。当クレーンホームページの「弦のコーナー」の解説も参考にしてください。たぶんこの記事を読んでおられるたいていの方がクラシックギターやマンドリン、あるいはスチール弦のギターなどを弾いておられると思いますが、弦1本あたりにかかる張力はかなりの差があり、ついテンションを上げて(そのほうが楽器は鳴らしやすいという人も多い)楽器にトラブルを引き起こす例が多く見られます。クラシックギターでは1本あたり7〜8kg(6本で40〜50kg)のテンションがかかっており、スチール弦のギターにおいては計60〜70kgにも及びます。19世紀ギターではふつう弦1本あたり約5kg前後をめやすとします。たぶんこうするとモダンギターに慣れた方には最初はやんわりした頼りない張りに感じられるはずです、しかししばらく辛抱?して弾いてみてください! 前にも述べましたが19世紀ギターはモダン楽器とは違って(もちろんリュートとも異なり)、弾き方にも配慮があったほうが、きれいな響きを得られるのです。リュートにはリュートの弾き方が、19世紀ギターには19世紀ギターの弾き方、そしてモダンギターにはモダンギターの弾き方をしてこそ、それぞれの魅力が引き出せると私は信じています。楽器の展示会などで様々な人々が古楽器や19世紀ギターを弾くのを見る機会がありますが、じつにみなさん様々な弾き方をされてます(良くも悪くも)......。

 

 弾きかた:前記のとおりモダンなクラシカルギターは特徴的にいえば「弦の張りを強く、表面板を大きく、音量・音域も広く....」という方向で製作されており、かなりのパワーをかけて演奏することを前提に製作されているのが普通です。しかし19世紀ギターはさきにも述べたように右手と左手の微妙なニュアンスで弦とボディの鳴りをコントロールしていると考えたほうが良く、パワフルに弾くと大事な音色を歪ませてしまって台無しにしてしまいます。また、19世紀ギターで大きな音を出したくて張りの強い弦でパワフルな演奏をするのもちょっと方向が違います。楽器に適切な弦を選択し、弦にかかる指頭の度合いや角度などをあれこれ変えて試してみると面白いと思います。サドルの高さをちょっと変えるだけでもかなり楽器操作の感覚は変化します。几帳面なタッチで演奏すれば楽器はきれいな音色で、しかも遠達に優れた音となることが期待できます。オーケストラとギターを合わせる場合においてはモダンギターでは広い音域がオーケストラのそれに埋もれてしまい聴衆には聴こえづらいのですが、19世紀ギターでは周囲の楽器に埋もれずに芯のあるはっきりした音が遠くまで聴こえるという話も多く耳にします。

 

 保管について:ギターをしまっておくときは多少弦をゆるめたほうがいいです(諸説ありますがワタシはそうしています)。長期間弾かない場合や運搬する場合はダラリとゆるめるのが一般的です。

 

 高温・多湿を避ける:まあ、これは現在の楽器もそうですけど、摂氏20度/湿度40〜50%程度ですね。市販の温湿度計は1200円ぐらいですからケチらずに購入し、日頃ギターを弾く部屋に置いときましょう。.....また、びわりんさんからお寄せ頂いた情報によりますと、楽器や絵画の保管のために 使うなら業務用の温湿度計が必要で、一般家庭用の温湿度計はたんなる目安程度で現在の温湿度をシビアに計ることは出来ないという提案もあります、価格は10000円前後が普通で一番小さな業務用で3800円 。私は自宅の全ての部屋に温湿度計を付けています、楽器のためだけではなく人間が過ごしやすいようにです。ちなみに私の工房は常に湿度は除湿器で年間を通して45〜50%に保たれています。

 

 木ペグやブリッジのピンやストラップボタンを紛失しないように注意:ブリッジピンはよく紛失します。まあ、200年も経過すれば揃っているほうが不思議というか幸運と考えるべきでしょう。

 

 やたらと改造・修復しない(リセールバリューに影響するのもひとつなのですが、文化遺産的なモノもあるんですからなるべくオリジナルの状態で後世に残しましょうよ)。削りまくってベットリ再塗装して新品みたいな19世紀ギターも時折みかけますが、私にはどう考えてもキモチワルイものです。

 

 

提案1:所有者が死んだら後世のために博物館に寄贈しましょう(え? ヤダって?)

提案2:博物館のみなさん、われわれ庶民にも試奏や採寸する機会を与えてください。楽器に限らず楽譜等の資料もオープンに!

 

 


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