デイヴィッド・ホワイトマン作:クラシックギター(新方式の新作)
イギリス 2012年
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デイヴィッド・ホワイトマンはイギリスのギター製作者。

超一級と言えるメーカーで、リチャード・チャップマンの[Guitar]には現代イギリスを代表する製作家として
クリストファー・ディーンと並んで言及されています。


また、世界最大手のギターディーラー。ギターサロンインターナショナル(GSI)でも、
彼の楽器は非常に高い評価を受けており、また現代の製作者としては高額に取引されています。

GSIのサイトからホワイトマンに関する論評です。
This is a fantastic and stunningly beautiful guitar from British maker David Whiteman. It is precisely constructed and handmade using the finest materials.  The level of craftsmanship on this instrument is of the highest level, with every possible detail attended to with the utmost precision. The sound is full and rich, with exceptional clarity, and big projection. Whiteman's guitars are also known for their balance, sustain, and firm, even response. An exceptional guitar by all standards.
(http://www.guitarsalon.com/p3789-david-whiteman-spmp.html)

全く誇張の無い表現で、実際に私自身デイヴィッド・ホワイトマンのように、良い材料と高いクラフツマンシップ、深い経験を持つ
現代のギター製作家は他に知りません・・・

デイヴィッドは長らくロンドンのメトロポリタン大学のギター製作科の教授を務めていましたが、
先頃引退、現在は英国南部ブライトンの海沿いの街でギター製作とアンティーク/ヴィンテージ名器の修復に専念しています。

彼が修復、研究したオリジナル楽器としては、ラコート、パノルモ、ファブリカトーレ、シュタウファー、トーレスなどがあり、
また近年ではハウザー一世を研究し見事なコピーを製作しています。
私自身もこれまでに自分の所有するラコート、パノルモ、シュタウファー、ワイスバーガーなどの修復を依頼しています。

このサイトでもこれまでに彼の楽器としてはハウザー・コピー、パノルモ・コピー、シンプリシオ・コピーなどを扱いました。
いずれも大変素晴らしい楽器で、現所有者の方たちからの喜びのコメントも多く聞かれます。

さて、今回のギターは彼がこれまでの経験をもとに根本的にギターの構造を見直した新方式の構造を持っています。
新方式のギターとしてはオーストラリアのスモールマンが考案したラティス/ワッフルバー方式がよく知られていますね。

それは表面板を薄く作り、カーボンファイバーの格子状の力木を配置、
裏板は非常に重く厚く作り、表面板にエネルギーを集中させる・・・といったものでした。

それは見事に成功して、スモールマンのギターはそれまでにあり得ないほどの音量と音質を獲得し、
ジョン・ウイリアムスをはじめとするプロギタリストたちに使われています。
一説によると、現代のコンクールで入賞するにはこのような新方式のギターが必須だとも言います。

しかしスモールマン方式のギターの欠点として、音色が美しくない、奏者には大きく聞こえるが実際にはホールでは音は通らない、
楽器が重すぎる、ギターが壊れやすく、また寿命が短い・・・といった声も聞こえます。

ホワイトマンはこれまでに伝統的なトーレスタイプの楽器およびワッフルバーのギターどちらも多く製作してきましたが、
最近はその二つの方式を融合させたギターを考案し製作しています。

今回の楽器もそのうちの一台で、デイヴィッド曰く「これまでに様々なギターを製作したが、最上の出来と言える一本」だそうです。
このギターはアメリカのギターディーラーGSIのための製作されたものですが、このところ裏横板の材料のアメリカへの輸出が厳しくなってしまい、
やむなく輸出は断念し、GSIのためには裏横サテンウッドでギターを製作することにしたそうです。
おかげで?この素晴らしいギターを本ページで紹介できることになりました・・・

この上なく素晴らしい材料と工作精度により製作されています。
スプルースの表面板。目の細かい最上級の材料です。


ロゼッタも手が込んだ非常に美しいものです。


表面板の裏側のバーリングは、伝統的扇状力木と弦に対して直角方向のバーがあります。
デイヴィッドの考案したハイブリッド・バーリングです。

スモールマンのギターとは異なり、表面板の厚さは特に薄くはないそうです。

黒檀の指板。


裏横板は目を疑うような素晴らしいハカランダ。現代では見ることのない柾目!
非常に美しい仕上げです。



スモールマンと異なる特徴として、裏板にも格子状の力木が施されています。また横板はマホガニーで貼り合わせれています。
裏横はあまり振動させないで、表板に振動を集中させる工夫なようです。


ネックとヘッドはシダー(セドロ)。


ヘッドのデザインはシンプリシオに似ていますね。工作精度はここでも最上です。
ヘッドのフロントには稀少なスネークウッドが用いられています。

マシンはシンプルなデザインながらも、堅牢さと信頼性を誇るルブナーです。

パーフリングなど要所要所にスネークウッドが用いられています。大変美しいギターです。


サイズは現代のクラシックギターの標準と言えます。
弦長:65センチ
裏板長さ:48.5センチ
ナット上の弦幅:50ミリ
ボディ幅:37センチ、25センチ、27.5センチ


出来上がったばかりですが、すでに素晴らしく良く鳴るギターです。
ハイブリッドなだけあって、伝統的スパニッシュギターの良さと現代的なサウンドの両方を併せ持っています。

私の様な古楽器奏者が軽いタッチで弾いても非常に快適に音を出すことが出来、音色の品も良く、音量もあります。
(良くない意味での)ピアノ的なところがなく、音色は透明でバランスも良く、大変弾きやすく・・・
まさに現代のギターのマスターピースと言えます。工房から出たばかりで、傷一つない新品の状態。

新構造のギターですが、製作者曰く「伝統的なギターと同様に長く使えることは保証する」そうです。

自信をもって勧められる素晴らしいギターです。
ヒスコックスのカスタムケース付き。



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