エドモン・ソニエ作:オリジナル・5コースギター
パリ、1781年
価格応談
お気軽にご質問/お問い合わせください。
久々のオリジナル・バロックギター。
しかも18世紀後半のフランスを代表する弦楽器製作家のひとり、エドモン・ソニエ製作の楽器です。
弦楽器のバイブルVannesの弦楽器製作家事典にも長い項目があります。

ソニエは1730年生まれ。パリに工房を持ち、リュート、ヴァイオリン属、そしてわけてもマンドリンとギターの名工として知られていました。
パリの音楽博物館にはソニエのコーナーがあり、美しいロンバルディマンドリンなどが展示されています。

パリの楽器博物館のマンドリン

イタリアの個人コレクション中の装飾されたソニエ・ギター
工房としては一代限りだと思われますが、1810-20年代と思われる6弦ギターも残されていることから、
弟子あるいは短命の後継者が居たのかもしれません。


ソニエのバロックギターとクラシカルギター(1810-20?)
今回のギターは、ソニエが製作家として脂の乗り切った1781年に製作されています。
この時代のギターに手書きのラベルが残されているのも珍しく、その意味でも貴重な楽器です。

このギターはもともと5コースのバロックギターとして製作されましたが、その後おそらく18世紀の終わりに5単弦ギターに、
そして19世紀前半に6単弦ギターへと改造されています。
そして最近、オリジナルの5コースギターへと再生されました。
5コースへの再生は経験の深い古楽器製作家によるもので、実際に良い仕事がなされていましたが、
当方の目から見て幾つかの点に不満が感じられました。
ですので、今回出展にあたっては英国の修復家アレクサンダー・バトフに依頼して、
オーバーホールに近い大掛かりな再修復、調整を行いました。
具体的には、19世紀に付加された内部の力木の除去、ブリッジの中央部分の交換、
表面板の変形の修正、木製フレットの位置変更、弦高調整、などを行いました。
調整はコンマ何ミリの精度を持って丹念に行われています。
その甲斐あって、実際に演奏する楽器としてもこの上ないギターとなっています。
使い勝手、弾き心地、そして鳴り方や音、どれも最上級の仕上がりです。
18世紀の後半のパリではギターが爆発的に流行し、多くの楽器が作られました。
スタイルとしては、17世紀ギターの流れをくみ装飾ありでローズをもつものと、
新しい潮流とも言える簡素な装飾付きローズなしの二種に分けることが出来ます。
ソニエはどちらのスタイルも楽器も製作していますが、今回の楽器は後者ですね。

18世紀後半のパリのギターたち
左から:マーシャル、ソニエ、マスト
装飾されたローズ付きのギターは、音は典雅で語るように鳴る場合が多く、
装飾なしローズなしのギターは、ギターはボディ全体で鳴り、響きが豊かな場合が多いですね。
どちらが良いという問題ではなく、趣味というかそれぞれに良さがあります。
(ですので、理想的には両方のタイプを所有して弾き分けるのが良いのですが・・・)
装飾されたソニエのギターがもしも市場に出た場合は、非常な高額になることは間違いないでしょう。
その意味では今回のギターは名工の作品をリーズナブルな価格で入手する稀有な機会と言えるかもしれません。
バロックギターに続いて、19世紀には6弦ギターが普遍的となり、
20世紀には楽器は大型化していくのはみなさんご存知の通りです。

ギターの200年
左から、ソニエ1781年、ラミー系1850年ころ、マリン1975年
スプルースの表面板。大変上質のものです。

割れの跡などはありますが綺麗に修理されています。
この時代のギターは表面や内部が後世にクリーニングの為に削られているのも多いのですが、
この楽器はまったく100パーセントオリジナルを保っています。
ブリッジ両端のムスターシュはオリジナル。ダブル・ムスターシュと呼ばれるヒゲが二重になっているものです。
ダブルムスターシュは18世紀後半から19世紀初頭のギターにしばしば見られます。
この時代にはそれ以前の(バロック)ギターよりもブリッジの位置が上部(ロゼッタより)になっていきますが、
デザイン的にバランスをとるためでしょう。音響的な意味もあるかもしれません。

バロックギターには木やパーチメントで作られたローズがはめ込まれているものが多いのですが、
この時代のギターの多くにはローズはありません。このギターもローズは製作時から付いていませんでした。

ローズには、「低音特性を良くして、音に潤いを与える」役割があったと思われますが、
18世紀後半には巻き弦も普及して低音の鳴りには問題がなくなり、
また、全体の音量はローズがない方が良いためローズなしの楽器がより使われるようになってきたのでしょう。
実際にこのソニエのギター、鳴りも音色も驚くほど良いものです。
メープルの裏横板。大変綺麗な杢の材料です。

裏板には上衣のボタンのすれ跡などはありますが、大きな割れなどはなく、
横板には幾つかのヒビがありますが、綺麗に修理されています。

ヘッドは黒檀張り。

繰り返しになりますが、弾き心地、鳴りともに最上といってよい貴重なオリジナル・バロックギターです。
バロックギターに本気!の方に使っていただければと思います。




戻る
メイル