イアン・ハーウッド/ジョン・イサークス作 7コース・ルネサンスリュート
(1970年代、英国)
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イアン・ハーウッドは現代リュート製作におけるパイオニアの一人で、
イギリスのリュート製作に大きな貢献をした製作家です。
どちらかといえば研究や教育に多くの時間を割いており、
残されている楽器の数は必ずしも多くはないのですが、
それらは非常に高いレヴェルにあり現在でもプロ奏者、熱心な愛好家から高い評価を受けています。
ハーウッド氏はもともと飛行機の設計に携わっていたエンジニアで、
1970年代からリュートの研究と製作を行なっていました。
70年代のイギリスと言えば、マンロウに代表される古楽復興が盛んだった時で、
ハーウッドは多くのプロリュート奏者の為に楽器を製作しています。

その後、80年代からはどちらかといえば研究が主になってきており、
アーリー・ミュージック誌やリュート協会会報などに非常に興味深い論文をいくつも発表しています。
現在のリュート協会会長であり、イギリスリュート界の重鎮と言えましょう。
1970年代、イギリスでは素晴らしい手工リュートが製作され始めていましたが、いずれも高価なものでした。
ハーウッドは、材料と工作精度の質は落とさず装飾を廃した「スチューデントリュート」を企画し、
実際にとても良い楽器を生み出しユーザには歓迎されましたが、
やはりコストが引き合わず生産は少ない数にとどまっています。
今回のリュートはこの「スチューデント・モデル」です。
長らくイギリスの熱心な愛好家の所有になっていたものですが、
今回この楽器が当スタジオに委託されました。
それなりに弾き傷などはありますが、楽器としてのコンデションは大変良い状態です。
また、今回出展にあたり、ロンドンの古楽器工房で弦高の調整、フレットと弦の交換を行ないましたので、
安心して使える状態になっています。
弦長608ミリ、第1コースをG、FシャープもしくはFに調弦する典型的7コース・ルネサンスですね。
7コースはもっとも汎用に向いている楽器と言え、ダウランドやロビンソンなどイギリスの作品の多くは7コースで演奏できます。
最近製作された楽器ではありませんが、スタイルはまったくヒストリカルなものです。
流石に製作家自身が、その手で幾多のオリジナル・リュートを検分した上で作られている楽器です。
語弊があるかもしれませんが、日本でしばしばお目にかかるような「舶来楽器のコピー」リュートなどからは
全くかけ離れており、品格の高さ、本物の重みとでもいったものを、ひしひしと感じさせてくれます。
モデルはハンス・フライ、「涙のしずく型」と言われる美しいプロポーションです。
この形は甘い音色に寄与すると言われますが、この楽器、大変まろやかな響きです
材料が枯れているためでしょうか、美しい音色で大変良く鳴ります。

オリジナルのフライ
セダーの表面板、幅広のメープル9枚の裏板、裏板は縞の美しい材料です。
メープルのヘッド。紫檀のペグ。指板、ネックもメープルでしょうか。
ローズは簡素なデザインですがなかなか美しいものです。象牙のストラップボタンがあります。
スチューデントモデルと言えども、材料およびクラフツマンシップともに良いもので、
誠実に作られた楽器と言えるでしょう。
傷や汚れなどはありますが、割れや大きな修理跡はありません。
これからリュートを始める人や、経験者で安価な7コースをお探しの方にお勧めしたい楽器です。





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