無銘:ロンバルディ型(ミラノ型)マンドリン
(イタリア/ドイツ、19世紀中庸?)

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日本にはマンドリンを演奏する人が多いと聞きますが、
18世紀から19世紀にかけてのアーリーマンドリンの世界は、まだまだ未知の分野でしょう。
さて、今回の楽器は19世紀に製作されたロンバルディ型(ミラノ型)マンドリンです。
ロンバルディ型マンドリンは、現在普通に見られるナポリ型マンドリン(金属弦、5度調弦、4複弦でピックで弾かれる)と並んで、
20世紀初頭まで大きな人気を誇っていました。

19世紀のマンドリン2台、 上:ナポリ型、 下:ロンバルディ型
ロンバルディ型マンドリンは6単弦(ガットおよび巻き弦)を持ち、ピックあるいは指で弾かれます。
調弦は上からソレラシ♭ミソで、リュートやギターと同様の4度調弦ですね。
18世紀の中頃まで、マンドリンというと、現在「バロックマンドリーノ」あるいは
「ミラノ式マンドリン」として知られている楽器のことを指していました。
弦はガットの複弦で、ほぼ例外なく指頭で弾かれていました。
ヴィヴァルディやスカルラッティなどのよく知られたマンドリン曲はそのような楽器のために書かれたのです。

18世紀の中庸から後半にかけて、ミラノ式マンドリンに単弦の楽器が出現しました。


このような楽器が19世紀のロンバルディ・マンドリンへと繋がったのですね。
19世紀に作られたロンバルディマンドリンの多くは、異なる材質を組み合わせた丸っこい胴体を持ち、
楕円のサウンドホールと表面板上の指板、それからピックガードを持っています。

ミラノ式(ロンバルディ式)マンドリン3台
下から:ランベール・コピー(18世紀中庸モデル、フォレスター作)、出展楽器、無銘(1880年頃?)
今回の楽器は、独立した指板はなく、またピックガードも装備していません。
そのことからも比較的早い時期に製作されたのでは・・・と思われます。
良い材料とクラフツマンシップで、良心的に製作された楽器です。
スプルースの表面板。ローズウッドの指板。

よく目の通った上質の表面板。

ブリッジは興味深いことにトリノのガダニーニのギターに似ています。

メープルとウォールナットの裏板。黒塗りのネックとヘッド。

ペグはフィットしていますが交換されているかもしれません。

大きな修理跡などはなく、大変良い状態です。
現状では古楽器用のナイルガット/ナイロン/巻き弦で張っていますが、
弾きやすく、音色は非常に甘く、金属弦マンドリンと並んで愛好されたのも頷けます。
ロンバルディ型マンドリンのためにはホフマンが多くの作品を書いています。
また、ベートーヴェンにもマンドリンとチェンバロのための作品も、
ロンバルディ型マンドリンが念頭に置かれていたとの説があります。
実際、ベートーヴェンが使ったという楽器の写真も現存していますが、あきらかにロンバルディ型のマンドリンです。

ベートーヴェンのマンドリン作品は、♭系の調が多く、
ロンバルディ型マンドリンの調弦で弾くと、非常にピッタリときます。

しかし、ベートーヴェンのマンドリンに関しては諸説あり、まだ充分に研究されたとも言えない状態です。
これからの真摯な研究が待たれるところです。
ロンバルディ型のマンドリンで状態の良い物は珍しく、貴重な機会と言えましょう。
同時代のケースが付属します。

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