アントニオ・カルロス・ガルシア作:クラシックギター
マドリッド 1880年頃
価格29万円
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アントニオ・カルロス・ガルシアにより1880年頃にスペインのマドリッドで製作されたギターです。
イギリスの弦楽器販売会社アルバン・ヴォイクト商会がイギリスに輸入しています。
この当時、マドリッドにはトーレスを初めとして幾多の名工が活躍し、良質のスペイン式ギターを製作していました。
イギリスでは19世紀の後半になってもスペイン式のギターはほとんどなく、
ラコートやJTLに代表されるフランスのギターが主に使われていました。
それは、当時のイギリスを代表するギターリストでありギター教師であったプラッテン夫人が
主にフランス式の楽器を使っていたことの影響が大きかったのです。

プラッテン夫人
1880年代にフランチェスコ・タレガがロンドンでコンサートを開きます。
タレガはイギリスの気候を好まなかった様ですが、
イギリスの医師でありアマチュアのギタリストだったレッキー氏と親しく交わり、
いくつもの作品を彼の為に書き下ろしています。


タレガとレッキー氏の為に書いた手稿譜
タレガが持参したトーレスのスパニッシュギターは、ロンドンっ子の見慣れたフランス式のギターとは大きく異なり、
その影響から、19世紀末から20世紀にかけて、スペインのギターがイギリスに輸入されるようになりました。
それらはスペインの工房にイギリスの楽器会社が発注したもので、今回のガルシア作ギターもその一つです。
良質の材料とクラフツマンシップにより作られたギターです。
特筆すべきは弦長が61センチとやや小型なことです。
手の小さな女性を主に顧客と考えていたのか、それともテルツだったのかもしれません。
もちろん通常のギターとして使うことに問題はありません。

1880年頃のスペインギター
左から:ト−レス、ガルシア(出展楽器)
この当時(今も?)スペインで作られた楽器は、材料や工作精度など様々ですが、
今回の楽器は材料、工作ともに非常に良く、良心的、誠実に製作されています。
上質のスプルースの表面板。ロゼッタは木と真珠母貝による装飾があり、
胴体の周りにも繊細な象眼が施されています。
ブリッジとヘッドにも真珠の装飾があります。



しばしば「マドリッドの楽器は装飾を排して機能優先、バレンシアの楽器は装飾過多・・・」のようなことも言われますが、
これは不正確で、マドリッドの巨匠トーレスも装飾豊かな楽器を製作しています。


トーレス 1868年
美しい板目のハカランダの裏横板。

全ての部品がオリジナルで、修理跡も少ない楽器ですが、胴体には多少の割れの跡があります。
ブリッジは剥がれた跡があり、貼り直されています。
現状ではすべて修理されていて、すぐに演奏することができます。
歯切れ良く、タッチに敏感に良く鳴ります。
音の一つ一つに歌心があるのは、やはり良質のオリジナル楽器ならではです。
タレガ時代のスパニッシュギターをお探しの方にお勧めしたい楽器です。


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