ホセ・ラミレス:クラシックギター(トーレスモデル)
マドリッド(スペイン) 1958年
価格37万円
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非常に興味深いギターです。
20世紀の半ばにマドリッドで作られたトーレス・モデルのギター。

ラベルはあのホセ・ラミレス。

ラミレスは19世紀から続くギター製作者の家系で、初代ホセ・ラミレス(1858ー1923)、マヌエル・ラミレス(1864-1916)、
ホセ・ラミレス二世(1885-1957)、ホセ・ラミレス三世(1922-1995)など名工を輩出し、
今でもマドリッドに大きな工房/ショップがあります。

セゴヴィアが1916年製のマヌエル・ラミレス銘のギター(実際の製作はサントス・エルナンデスと言われる)
を長年使い続けたのはよく知られています。

セゴヴィアのマヌエル・ラミレス

セゴヴィアはその後ハウザー一世/二世のギターに持ち替えますが、
1960年からはラミレス三世の楽器を使い始めました。

セゴヴィアのホセ・ラミレス

現在、「ラミレス三世のギター」というと、長い弦長(665ミリ)、セダーの表面板、
ユリア塗装などが特徴として挙げられることが多いのですが、それらは全て1960年代以降のものです。

ラミレス二世は1957年に物故し、同時にラミレス三世が工房の長になります。
製作においては保守的だったラミレス二世ですが、三世は50年代に様々な新しい試みを行っていました。
同時にトーレスやハウザーなどの名器も研究し、コピーも製作しています。

1959年にはベルナベなど名工が職人としてラミレスの工房で働くようになり、生産ラインも整備されていきます。
楽器の仕様や出来は均一になり安定しますが、同時に面白さに欠けるようになったのは皆さんもご存じの通りです・・・

今回の楽器はトーレスに範を取った伝統的スパニッシュギターです。
決して豪奢な楽器ではありませんが、古き良きスペインの香りを確かに感じることが出来ます。
サイズとしては現行のクラシックギターよりもやや小型で、ボディの長さ470ミリ、ボディ最大幅345ミリ、弦長647ミリ。
19世紀末から20世紀前半のクラシックギターの典型のサイズと言っても良いでしょう。

スプルースの表面板。ハカランダのブリッジ。オーク?の指板。

表面板にはゴルペがつけられていた跡がありますが、シェラックで綺麗にリタッチされています。
楽器としてはクラシックの仕様なので、ゴルペは後世につけられたものと思われます。


表面板はやや粗めの木目を持っていますが、品質は良いものです。


ロゼッタもトーレスを意識したものですね。
   
左:出展楽器、 右:トーレスのロゼッタいろいろ(セカンドエポック)

マホガニーの裏横板。セダーのネック。



マホガニーはトーレスによってもしばしば使われた材料です。

トーレスのマホガニー裏横のギター(セカンドエポック127番)

機械式の糸巻きを持つヘッド。ヘッド形状もトーレスのコピーです。
   
左:出展楽器、 右:トーレス(ラミレス工房のコレクション)

糸巻きは合成樹脂のつまみをもつ中級品ですが、使い勝手は良い物です。

ラミレスのラベルというと↓のような大型ラベルが多いのですが、


今回の楽器は↓のようなスモールラベルで、やはりトーレスを意識していますね。
 
左:ラミレス、 右:トーレス

注:ラミレスにスモールラベルの楽器があることは耳にしていましたが、私自身手に取るのはこれが初めてです。
おそらくはラミレス自身の作品というよりは、OEMで作られラミレスの店で販売された楽器ではないかと思います。
本稿にあるようにトラデショナルなスタイルで製作されていますが、かえって古いギターの愛好者にとっては
興味深い楽器となって残ったわけですね・・・



状態は良い楽器で、ボディには大きな割れの修理跡はありません。
横板と裏板には亀裂がありますが修理されています。
弦高は適正で大変弾きやすいギターです。

作られてから半世紀以上が経過しており、音の出方は大変こなれています。
まろやかな音で楽器全体で良く鳴るギターで、良く伸びる高音、ふるいつきたくなるような低音を持ち、
和音を弾いたときのブレンド具合も素晴らしく、正に名器の響きです。

なんと言いましょうか、大人の音を持つギターですね。
スペインの古名器の香りがするギターに興味をお持ちの方にお勧めしたい楽器です。

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