私的素敵頁:16mmフィルムカメラ マミヤ16 オートマチック

MAMIYA16 AUTOMATIC(マミヤ光機/現マミヤ・オーピー)

記事:2010年1月10日公開

- (C) 2010 Makoto Tsuruta / CRANE Home Page / Shiteki Suteki Pei -

 


   

誰も見向きもしないものに熱中し、世間の流行とは無関係に「いいんだ!コレがぁ!」と勝手に感激し、どうだ!すごいだろぅ!? と記事を書いたら、やっぱり誰も見向きもしない、そんなコーナー。それがCRANEの私的素敵頁(してきすてきぺい)。 久しぶりに新アイテムを紹介するぜよ!(なぜか土佐弁)
今日も熱くナイス・ペイっ!



今回の私的素敵PAYは古い小型のアナログカメラです。

何がいいのって? そりゃ〜〜、素直にカッコイイのさ。上の写真をとくと御覧あれ。
え? フィルムのカメラって現像とかどうすんの? そうです、今回は独自に編み出した現像方法も含め、その楽しみかたを紹介します。
御覧のとおり、おおむね現代の携帯電話程度のサイズのボディにレンズと露出計とシャッター、絞り、フラッシュシンクロ接点まで備えた本格的な小型カメラ。小型といえばドイツのミノックスMINOXが有名でロングランです(今でもミノックス判のフィルムはヨドバシで売ってる)。対して今回のカメラは短命で1950年代〜1960年頃に愛好されました。決して長くない期間に世界中のカメラメーカーが情熱を注いだ16mmカメラ。激しくも美しく燃え、そして忘れられていった孤高のヒロインなのである(おぉ〜!いいぞ!今回は熱いぜよ!)。

 

写真1:ゴツイ鉄の塊。限りなく直方体を意識して合理的に配置された素晴らしいデザイン。
写真2:スクエアな当面操作パネルはダイヤルやレバーが平たく作られています。
写真3:ストラップは各種あったようで、これらのほかに金属チェーンもありました。
写真4:画角を決めるために覗くファインダーは収納されていますが、イザとなれば「起立!
写真5:明るさを知るために昔はセレンという、いわば太陽電池を使ったのです。電池も不要でエコですな。
写真6:レンズ前にスライドカバー、閉じておけば誤操作防止でシャッターは切れないしくみ。
写真7:イエローのフィルタ付き。白黒フィルムの人物や山野撮影のコントラスト調整用。交換も可能。
写真8:底蓋はロック機構付きで誤って開かないようになってます。ちゃんと三脚穴もあるのだ。



技術革新はデジタルカメラを極度に高度化させ、しかも安価に私達に提供してくれていますね。今やヒトの顔認識とか動体予測のピント合わせ、余計なことに動画まで撮れてしまう。押せば写る、はアタリマエ。押せば「どんなものでも素晴らしく綺麗に写る」のがト〜ゼン。まったく良い世の中になったものです。
ただ..... いまのカメラってオモチャみたい。プラスチックのボディ、撮像素子の寿命がきたら修理より買い換えが現実的、いわば大量消費の典型的な商品。ずっと使おうなんていう愛着よりも道具としてどんどん買い換えることが一般化してるワケです。
そう! そんな現代だからこそ「味」を求めたい、それがCRANE。時代の流れに逆らってめんどくさい鉄カメラ万歳! ということですよ。

終戦まもない1949年12月(昭和24年)マミヤの創業者で発明家の間宮精一が生み出したカメラで、本人も自信作と述べたMAMIYA16。その後日本の復興期と共に改良がなされ、1959年に発表されたのが今回のマミヤ16オートマチック(オートマット)です。当時は広く普及していた映画用の16mmフィルムを使えることもあって大ブームとなりました。このカテゴリの先駆けはリコー社のSutekiという超小型カメラでしたが、マミヤの発売に加えミノルタ社も参入したほか、海外でもイタリアのガミやドイツのローライ、ロシアのメーカーなども同様の16mmフィルムの小型カメラを生み出しました。国際的に歓迎された時代であったことがうかがえます。1962年(昭和37年)、新たな小型フィルム規格110に圧され、マミヤ16EEデラックスで終焉を迎えるまでの間、MAMIYA16は様々なモデルが発表されましたが、私が機能やデザインでいちばん気に入っているのが、今回のモデルマミヤ16オートマットです。実際にはマミヤ16オートマットといってもマイナーチェンジや海外向け仕様などもあって、細部の微妙に異なるものが存在します。

 


【 マミヤ16 オートマット ( Mamiya 16 Automat/Automatic ) の仕様 】

発売: 1959年8月 (昭和34年)
価格: 9800円 (カメラ9200円、革ケース600円)
型式: 16mm判カメラ(16mm映画用)
画面サイズ: 10×14mm 専用マガジン入り16mmフィルム使用  20枚撮り
レンズ: マミヤ・セコール SEKOR 25mm F2.8(3群3枚)
ファインダー: 引起し式、等倍のブライトフレーム付、ブロック型、 パララックス修正マーク付
焦点調節: 目測による距離調節、回転ヘリコイド式  (近距離0.3mから∞まで)mモデルとftモデル有り
シャッター: 金属1枚羽根式 ボディレリーズ  1フィート
シャッタースピード: 機械制御 B, 1/2〜1/200秒(B, 2, 5, 10, 25, 50, 100, 200)、または B, 5, 10, 25, 50, 100, 200
絞り: 「く」の字型2枚による菱形 F : 2.8, 4, 5.6, 8, 11, 16 または F : 2.8, 4, 5.6, 8, 11
巻き上げ: ギアによるフィルム巻き止め式、二重撮影防止、フィルムカウンター付 シャッターはセルフコッキング式で巻上自動チャージ
フィルム装填: 裏蓋開閉式 フィルムインジケーター付(フタ開閉で0リセットはしない)
露出計: 内蔵の電気露出計と絞り目盛りが連動。 (光起電力を持つセレン露出計のため電池は不要)
フィルター: 常用の淡黄フィルター内蔵(交換自在)
フラッシュ・シンクロ装着:ボディ底部にX接点
底面: 三脚用のネジ穴、フラッシュガン装着用小穴を装備
アクセサリシュー: 時期によってはストラップネジ位置にアクセサリシューを持つモデルも存在した
サイズ・重量: 104×32×48mm 273g ストラップを含めて300g

* 追針式連動露出計組み込み:露出計の連動方式はフィルム感度を合わせておき、撮影するシャッター速度と同じ速度目盛りをメーターの指針に合わせると、絞りがこれと連動して適性露出が得られる。 * 距離目盛りの4mに定焦点マーク(○印)をつけてある。

 

【 マミヤ16シリーズの変遷 】

MAMIYA 16 (1949年/昭和24年 12月発売) :当時3380円 3群3枚 CUTE 25mm F3.5固定焦点 B, 1/25, 1/50, 1/100秒
MAMIYA 16 SUPER (1951年/昭和26年1月発売):当時5500円 シンクロ機能, 距離に応じてピント調整可能に B, 1/2〜1/200秒
MAMIYA 16 SUPER II (1957年/昭和32年 9月発売):当時5500円 フィルム送り識別装置追加
MAMIYA 16 SUPER III (1958年/昭和33年 3月発売):当時6500円 フィルム装填表示板を追加、○印に合わせると固定焦点式
MAMIYA 16 AUTOMATIC (1959年/昭和34年 8月発売) :当時9800円 セレン露出計追加、ポップアップファインダー, SEKOR 25mm F2.8
MAMIYA 16 DELUX (1961年/昭和36年 3月発売) :当時7800円 逆ガリレオ式ファインダー、露出計を省略して、パララックス自動補正採用
MAMIYA 16 EE DELUX (1962年/昭和37年 6月発売) :当時11000円 セレン露出計によるシャッター速度優先EE機能追加

※ ちなみに今回のカメラが発売された1959年/昭和34年は銀行初任給(大卒15,000円)、公務員初任給(上級職10,680円)、かけそば1杯35円であった。 NHK教育テレビが開局し、国産初のカラーテレビ(東芝)が発売された年でもある。

 

 

かんたんな撮り方
  私は完全マニュアル撮影してますが、なんたって「オートマチック」という名前のカメラ。自動でも撮れるのさ!?

1. 前もってISO100のフィルムを買ってマガジンに収め、本体の感度設定ダイヤルを100にしておきます。
2. ロック窓を開き、フィルムを巻き上げます。
3. ピントは正確な距離は難しいので、迷ったら約2mぐらい(ちっちゃい○印)でいいでしょう。
4. シャッター速度のダイヤルを100(フィルム感度ISO100) に合わせる。
5. 針の位置に絞りダイヤルの赤い100の印を合わせます。
6. ファインダーを起立させて覗き、画角をきめます。
7. シャッターを押します。

  以下の写真クリックで拡大図!

 (ちっとも簡単じゃないって? .... ま、まぁ、これが ってヤツだ )

 

 

撮影例
  なんたって「オートマチック」という名前のカメラだもん。撮るのも自動さ!?

フィルムの手配と現像の方法については後記するとして、まずは撮影例を御覧ください。
16mmフィルムは入手困難だったので市販の35mmフィルムから切り出しています。
従ってフィルムの穴(パーフォレーション)はありません。

・作品1 (小 800 x 510 px) 

・作品2 (小 800 x 510 px) 

・作品3 (小 801 x 558 px) (大 3389 x 2324 px)

・作品4 (小 505 x 700 px) (大 2400 x 3329 px)

 

 


 

フィルムの入手と切り出し

フィルムを手に入れましょう。カラーも不可能ではないのですが、いろいろ厄介なのでここではモノクロ(パンクロ/シロクロ)フィルムを前提で説明します。昔はMAMIYA純正のフィルムとして販売されていました。というより各社ごとにマガジンの形状が異なったので各社がフィルムも販売していたわけです。16mmフィルムは現在でも映画用であれば入手できないこともないのですが(海外にはけっこうある)、現実的には広く売られているの35mm(135)フィルムから切り出すのがいいでしょう。その昔、このテのカメラの全盛期には35mmフィルムから16mm幅で切り出す「フィルムカッター」もあったものですが、現在ではめったに見かけません。ありがたいことに白黒フィルムは現在でも大きなカメラ店に行けば売っています。ネット通販でもいいでしょう。

個人的には昔からコダックのTry-X Panの信者なのですが、 このあとの現像のことを考えるとフジフィルムのネオパン(NEOPAN)のたぐいがいいでしょう。ACROSもキメがこまかくてなかなか良いです。

切り出し方法ですが、暗室で作業せねばなりません。私はこのためにカメラより高価な暗室ライトを買いました(笑)。
35mmフィルムからフィルムを引き出してその端を板の上にテープで貼り付け、約50cm引き出してカットし、やはりその端をテープで留めます。つまり50cmのフィルムの両端をテープで固定するわけです。次に14mm x 60cm の定規をあてて、両脇をゆっくり確実に切ります。暗いのでくれぐれも指を切らないように注意!

 

【結論】 14mm幅の定規の両脇をカッターで切るだけ   概念図1  概念図2

 

この方法なら暗室のセイフライトからフィルム面を定規が覆うので露光防止にもなります。ポイントは自作の木製定規。弦楽器製作家なので木工は手慣れたもんです。定規が16mm幅だと仕上がりは16mmより広くなってしまうので、むしろ14mmか13mm程度のやや狭いほうがいいです。

あとは直径1cmぐらいになるように端からくるくると巻いてパトローネ(マガジン)に収めます。数コマ引き出してパトローネの巻軸にフィルムの端をテープで留め、こちらもパトローネに収めます。つまりこんな感じになればOKデス。

24枚撮りのフィルムの長さは約100cmなので50cmが2本とれます。36枚撮りのフィルムなら3本採れます。50cmで採っても両端はロスとなり45cmを使うと考えたほうがいいです。この1本45cmを使えばMAMIYA 16AUTOMATIC では約23枚撮影できます。慣れてきて、うまくやれば30枚ぐらい撮ることも可能です。

切り出すフィルムはアバウトに13mm幅とかでも撮影できました。16mmを超えるよりも狭い幅のほうがうまくいきます。

 

 


 

現像(鶴田方式なのだ!)

フィルムを装着したらあとは撮るだけ。でも、デジカメと違って作法が多いし、めんどく..... おっと、 がいっぱいあるのでじっくり堪能していただきたい。さて、次は現像です。当然ながら、こんなフィルムの現像は基本的にどこの写真屋さんもイヤがって引き受けてくれません。というより、自分でやったほうが楽しいです。今回、失敗せず安心確実に現像する方法を編み出したので、皆さんに伝授しましょう。思えば苦節10年.....(ウソ)。いや、しかし試行錯誤の末、たどりついたのは事実です。

現像は現像、停止、定着といった流れで作業しますが、最低限の道具と薬品をセットで販売しているのが FUJI(富士フィルム)の「ダークレス」です。本来は35mm白黒フィルムをパトローネのまま専用小型タンク(プラスチックのケース)に入れて暗室なしで現像と定着・停止ができるというスグレモノです。昔、部屋が狭かった私もよく使いました。しかし、今回はこのキットの薬品のみを使います。専用タンクは使いません、私もさんざん使ってみて失敗したのです。構造的に16mmフィルムでは原則失敗します。

それで考案したのが次の方法です。

 

【結論】 ダークレスを暗室で使う  

【結論】 細長い皿で現像する   概念図

 

ようするにフィルムと同じぐらいの細長い皿に現像液を入れてヒタヒタと浸してやるのです。私は屋内配線のコードカバーを改造して使っています。もちろん暗室で作業します。ダークレスの意味が無いじゃないか!? そのとおり!
でもこの方法にしてから現像を失敗したことがありません。ダークレスは2液で、どちらも液温20度ぐらいで使います。液量も丁度良いのです。まずは現像液に3分間浸します。私はiPodのタイマーを使っています。浸しているあいだは指でフィルムを少し押さえたり離したりしてまんべんなく現像液をからめます。現像皿も時々浅く傾けます。3分を終えたら現像液を捨てて今度は定着液を入れ、4分間浸します。これもやさしく指でつつきながら浸してやります。この4分を終えたら暗室を出て水洗いです(もしまだフィルムに白っぽい部分が雲のように残っていたら再度定着液に浸します)。

そのまま30分間、流水でフィルムを洗って水をふきとって乾かせばオシマイです。
しかしここではより良い仕上がりのための方法を紹介。まず、定着を終えて数十秒の水洗いをしたらQW(水洗促進剤)の水溶液に1分間漬けます。引き上げて5分〜10分間の水洗いをします。そのあと希釈したドライウエルに30秒浸したのちぬぐわずにそのまま干して乾燥させます。

あとはクリップで挟んで数時間乾かせばオシマイ。QW(水洗促進剤)は水洗いの時間を短縮して水の節約とフィルムに傷がつく機会を減らす効果があり、ドライウエルはフィルム表面の斑点模様を防ぎます。

備考:QW(水洗促進剤)とドライウエルの使い方はそれぞれの商品パッケージに説明が書いてあります。

 

 


 

フィルムスキャン

フィルムは白黒のネガの状態で完成します。つまり明暗逆転の図柄ですね。しかもちっちゃい。フィルムスキャナは専用のものが各社から売られていますが、わざわざこのために買うのもなぁ....それで私が思いついたのが安価なスキャナを中古でオークションからゲット。CANONの古い機種でLiDE80です。MacOSXでも使えます。外観傷有りのため1400円で落札!

 

 



今日のPAY


16mmフィルムのカメラは中古でしか入手できないので中古を扱うカメラ店やオークションで入手するほか、近所のおじさんに探りをいれてゴロニャンと譲ってもらう、などのテがあります 。ただ、当然古いものなので、約半世紀前の機械であることから、調整が必要であることは前提です。とくにオークションでは状態が良いと書いてあっても無くても調整が必要と考えるべきです(経験的に)。

【入手時の注意点】
・ネジやレバーの欠品が無いかどうか。
・フィルムカートリッジ(マガジン/パトローネ)は付属するか。これは重要!
・露出計が付いているモデルなら太陽光に対して大きく振れるか。
・低速シャッターが粘らずにきれているか(とても多い故障)。
自分で修理するか、または修理してくれるショップ等と費用を調べておこう。


MAMIYA 16 AUTOMATIC(オークションにて) ¥3800
暗室ライト King + グリーンガラス(オークションにて): ¥6000
FUJI(富士フィルム) ダークレス現像薬品キット(現像液と定着液各3本アンプル)  ¥920
コードカバー(百均ダイソーにて)  ¥100
容器各種(百均ダイソーにて)  各¥100

FUJI (富士フィルム)QW(水洗促進剤:2L用) ¥60
FUJI (富士フィルム)ドライウエル ¥260

CANONの古いスキャナLiDE80(オークションにて) ¥1400

 

 

 

備考

現代のワカモノたち数名にこのカメラと写真を見せると意外にも?興味津々。「何コレ!?」とか、「カッコイイっスねぇ!」とか、「キャ〜!カワイイ!ヤバイ!」とか、「明治維新の頃の写真じゃないの?」とか、言いたい放題です。でも、カメラ自体も造形美という点ではデザインはウケているし、撮った写真もそこそこ「味」は感じているようです...... 。


関連サイト

・海外のサブミニチュアカメラ専門サイトにMAMIYA16も掲載されてます http://www.submin.com/16mm/collection/mamiya/index.htm

・マミヤ・オーピー株式会社(カ.... カメラはどこ?) http://www.mamiya-op.co.jp/webapp/top/

・マミヤ・デジタル・イメージング株式会社 http://www.mamiya.co.jp/

・Wikipedia のマミヤオーピー http://ja.wikipedia.org/wiki/

・Wikipedia のマミヤ・オーピーのカメラ製品一覧 http://ja.wikipedia.org/wiki/





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