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■ Title : リュート奏者に扮した自画像 [ヤン・ステーン] / Painter : Jan Steen / Photogravure / Publisher : Hachette & Co., Paris / 1904
●リュート奏者に扮した自画像 [ヤン・ステーン]
オランダの画家ヤン・ステーン(1626-1679)による自画像の版画です。今回もリュートですな。
原作の油絵をフォトグラビュール/フォトグラビアの技法で写真製版を行い、銅版画で刷ったものです。大きな画面で、絵のサイズは340 x254mm、余白にはプレートマークも有ります。1904年、Hachette & Co.によって刷られ、出版されました。おそらく名画集みたいなものの1ページでしょう。シャドウ部分もじつに階調豊かに印刷されています。フォトグラビアなので原作の油絵をおおむね忠実に再現しており、楽器も油絵の描かれた17世紀当時のものです。
ロゼッタは小振りでブリッジも弦の結び目が見られないので、単純化されて描かれているようです。ヘッド(ペグボックス)はトレブルライダーが装備されており、ヘッドの裏には透かし彫りは見えません。ナットから上は角度(パース)がよじれて少しおかしいですね。ペグは隠れて見えない部分もありますが、少なくとも15本を確認できます。弦も油絵で描くのは難しかったのか、単弦化されて11本が描かれています。
モデルさんがいて、顔だけ自分に入れ換えて描いたとも考えられますが、この版画を見る限りでは、この人物、相当弾ける奏者のようです。楽器の構え方や両手の使い方などが程良い脱力で自然に描写されています。じつは画家本人もバリバリ弾けたりなんかして.... 。
ヤン・ステーンは同じオランダのフェルメールやレンブラント、ルーベンス、ブリューゲル(父)と比較されることも多い画家ですが、静物画や宗教画などの名作を数多く残しています。とりわけ、画家といっても居酒屋を経営しながらの兼業画家のような時期もあって、酒場を描いた風俗画のシリーズは良く知られています。作品のなかに民衆の一人として自身を登場させることも多く、1665年頃には『大人が歌えば子供が笛吹く / The Way you Hear it is the Way you Sing it』 という作品のなかでは、子供にタバコを勧める悪い大人の役で登場します。よく見ると「リュート奏者に扮した自画像」と顔が同じです(笑)!
ものまねタレントのコロッケみたいな顔してますね。
今年は日本で「マウリッツハイス美術館展」が巡回するので、皆さんも「大人が歌えば子供が笛吹く」を直接目にすることができます。
紙のサイズ:400 x 310mm
印刷面サイズ:340 x254mm
裏面:ブランク
備考:おそらく書物の1ページ
参考:画家:ヤン・ステーン:Wikipedia