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■ Title: FIRST LOVE / Painter:
JOSEPH JOHN JENKINS (1811-1885) /
Engraver: S. SANGSTER / Print:1850-60年頃 / Publisher:JAMES S.
VIRTUE (LONDON) / Steel? Engraving
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弦楽器系版画シリーズ2008年の第4弾(4月)は新年度らしく?「初恋」です。
桜も咲き、新たな気分で新年度を迎えるというのはいいものですね。学校では新入生の皆さん、電車の中では新入社員の方々、アコガレの先輩は卒業して行っちゃったの、グスン...
なぁ〜んて方も、ドロドロした同僚とも人事異動でようやくオサラバ!?なんていう方も、みんな隔てなく春の到来です(意味深)。
さて、この版画作品、石造りのお城でのワンシーンに見えます。ワカイ娘さんが小さな花を手に、はにかむ様子、初々しさを感じますね。左の男性は貴族出身でしょうか、タイツ姿で凛々しい装い。これで剣を持てば最近のヨン(ペー)様の出演する『太王四神記』風でしょうか(←違うと思ふ)。絵画の世界では書物や楽器は知の象徴として描かれることも多く、この男性の秘めた魅力を演出しているものと考えられます。少女の傍らには花籠らしき器が置かれており、よく見ると摘みかけと思われる花も床に落ちていますね。城壁には植物が這っているところから察するに、どうやらこの少女が花を摘んでいるところへ書物と楽器を携えた男性が通りかかり、はっ!として振り返る少女(ここでおもわず花を落とす)、そこにはアコガレのぺー様の姿!(←林家ぺーではない).....
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絵画は見る人がそれぞれの想像をふくらませるのも、また楽しみのひとつ。
床に落ちている一輪が気になります.... この恋の行方は如何に.....
次回へつづく.....(ウソ)
原画は19世紀に生まれ活躍したJ.J.ジェンキンス
(1811-1885)、この作品もおそらく19世紀中期に描かれた油絵が元になっているようです。印刷面サイズは25.1cm
X 18.0cm
【謎のマンドリン】
登場する楽器はマンドリンです。楽器の特大写真をよ〜っく御覧ください。今回はツッコミどころがたくさんあります。
ペグが一般的な弦楽器とは逆になっており「ヘッドの表側から裏へ向かって」刺さってます、当時の流行りでしょうか(笑)。本来あるべき側のヘッド裏部分も、うやむやに描いてあってすごく気になります。 ん? 指板にはフレットが付いていませんね。高音域には拡張フレットらしきものが数本見えます。ヘッドのペグが4本なので4単弦と思ったらオオマチガイ。テールピースからは6本?の弦が出ており、低音側の4コースめは指板からナットに至る途中で消失しています。一見してボウルバックのボディかと思いきや、ティアドロップの裏は球形には見えず、むしろフラットなマンドリンにも見えます。なんだかボディ形状についてもあやふやで、よく見ると男性の衣装と楽器のボディが一体化しています。
サウンドホールはやや大きめの直径で円形ですが、ロゼッタはシンプルな1筋のサークルのみです。表面板は指板の両脇まで上昇しており、フレットレスで西アジア〜中東界隈にかけてみられる民族楽器の雰囲気すらあります。バロックマンドリン風のピックガードも付いています。テールピースは付いていますがブリッジやサドルのたぐいが見あたりません。テールブロックのあたりに謎の牙が2本? う〜〜む...
描いた画家のジェンキンスさんは今頃、「CRANEでこんなにツッコミがあるんなら、もっとちゃんと描けばよかったわい....」と思っているに違いありません。
備考1:WWF(World Wide Fund for Nature)
備考2:レッドリスト/絶滅危惧種 (WWF Japan)
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