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弦楽器製作工房には必要なものだから、と言い訳をこしらえ、物欲を満たそうとたくらむ購買の野望。ちょっと安く買えちゃったりすると、私はエライと錯覚し、独りで悦に浸りつつホームページに掲載してしまう.... それがCRANEの私的素敵頁(してきすてきぺい)のコーナー。
今年の秋も静かに熱くナイス・ペイっ!
● 今日の私的素敵PAYは「湿度計」です。
私は気象観測機器が好きだ。
弦楽器製作や修理・修復をやっていると、木材の反りや収縮を意識しないわけにはいきません。ウチの工房の場合はおおむね40%から50%ぐらいで維持するように努めています。湿度が高いとダメなのか?というと、必ずしもそうではありません。急激に極端に変化したり、過剰に乾いたりするのがマズイのです。湿度計は家中に10台ぐらい設置してあります。異なる方式の湿度計も所有・設置しているのですが、たとえば....
・乾湿球湿度計:昔ながらの温度計とガーゼを水に浸した方式で、小学校の理科室にありましたね。常にそよ風にさらすように、工房では空気清浄機の近くに設置しています。買ったものは誤差が大きかったので、いろんな機器装置と計算尺を駆使して自分で校正・改造したら、かなり信用できるようになりました。
・ペンタイプ湿度計:応答速度が速く、瞬時に計測できるのがウリ。半導体センサなので新品で買ったときは精度が高いのですが、やがて経年と共に使い物にならなくなります。キャップはこまめに閉じるのがコツ。
・デジタル半導体湿度計:新品で買った当初は正確ですが、半導体を使った湿度センサは1年も使えば誤差が拡大し、やがて2年も経過すると実際には湿度70%のところを50%と表示するぐらいにボケてきます(温度計表示は高精度を維持します)。古くなったら無いほうがマシ。但し、カメラの防湿庫の内部に設置するデジタル湿度計はホコリがほとんど発生せず、湿度も安定しているため、表示精度は比較的長期間にわたって維持されているように感じています(我が家のカメラの防湿庫は3年が経過しても、けっこう正確です)。
・毛髪湿度計:ヨーロッパの若い白人女性の金髪が精度が高いとされています(笑)。実際に使ってみると精度はいまひとつかなぁ... 。我が家にあるのはSATO(佐藤計量器製作所)です。温度計部分はアルコール式温度計ですがカーブしているところがイイ。つまり、この温室時計は「味」を求めて購入したものです(笑)。
・アースマン計算尺:気圧計を見て1013mb(hP)の頃に、乾湿球湿度計の調整に使っています。
デジタル式の湿度計は直読できて文字も大きく、一見すると便利で正確に見えますが、半導体センサを使った湿度計は精度を保てる期間が異常に短く、環境によっては半年、普通に使ってもせいぜい1年間が限度。
今回、御紹介するのはバイメタル方式で、熱収縮率の異なる2種類の金属を貼り合わせたものです。ゼンマイのように巻いてあり、かなり精度の高いものもあります。ただ、これもホコリ等の経年劣化は避けられず3年も経過すると誤差は拡大します。
湿度計は生ものである。というのが私の長年の経験的な結論です。ようするに消耗品ですな。
● 今日のPAY
さて、今日のペイです。
EMPEX (エンペックス) 温湿度計 EX-2718
アマゾンで購入したのですが、SuperEXセンサを使っていれば、機種はどれでもよくて、あとはケースや装飾によって価格が異なるだけで、精度は同じと考えます。3年ぐらいで買い換えることを考えると安価なものでいいカモ。でもカッコワルイのは困るので、奇抜なデザインのものは避けて、オーソドックスな EX-2718 というモデルにしました。据え置き型ですが、土台部分が分離するので壁掛けでも使えます。直径は約12cmなのでCDと同じぐらい。エンペックスのホームページのカタログによると定価は税込みで3675円、マトモに定価で買って送料がかかると4000円ぐらいになりますが.... 今回のPayは....
・EMPEX (エンペックス) 温湿度計 EX-2718 シャンパンゴールド: 1,518円(送料込) でした!
パッケージ
じつは同じモデルで色違いのシルバーを買おうとしたところ、同じアマゾンの同じお店でシルバーは1909円(送料込)。ん? まったく同じはずなのになぜか約400円安い。それなら、工房/アトリエのほかにリビングにも欲しいなぁ... というわけで2台購入。
工房に届いてから2日後ぐらいにアマゾンの購入履歴で同じ商品( EX-2718 シャンパンゴールド)を見たら1909円に値上がり?してました(笑)。そうなんです、お店が売値を間違えて付けていたのでしょう(たぶん)。あはははは.....
備考:そのまた数日後にアマゾンをチェックしたところ、今度はグレーが 1,618円 通常配送無料になってました。同じ売り主です。ということは、売れ行きをみてそのつど価格を調整しているのかもしれません....謎です。
実際に使ってみたところ、さすがに新品だけあって、高精度を実感します。今後は誤差がいつごろ、どれくらいの程度で発生していくのかを観察したいと思っています。おそらく3年間ぐらいは私の実用範囲内にあろうかと思います。
日本では湿度(相対湿度)が0%になることは珍しいのですが、鉄筋コンクリートのマンションなどでは5%とか10%になることはよくあること(とくに冬季)で、ギターやマンドリンやウクレレを海外から安くで購入したものの、日毎に亀裂が発生して修理代でアップアップ、ということもよくあります(そんな楽器の相談がウチの工房に来るわけですが) 。弦楽器に限らず木製の楽器を愛好される方は、故障防止の意味でも湿度計はあったほうが良いですね。ちなみに湿度が100%になることは珍しくなく、例えば青函トンネル内は常に湿度100%なのだそうです。
【関連リンク集】
・エンペックス気象計株式会社:http://www.empex.co.jp/
よくある質問:http://www.empex.co.jp/usefulInfor.html
・佐藤計量器製作所:http://www.sksato.co.jp/
・湿度計(Wikipedia)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B9%BF%E5%BA%A6%E8%A8%88
記事掲載:2012年10月7日 各製品の最新情報はメーカーサイトで御確認ください。
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