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CRANE 案内板 |
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● クレハの弦がリニューアル
先日、トルコのアンカラにあるガーズィ大学の先生であり、カーヌーン奏者でもあるB氏から問い合わせのメールが届きまして.... 。
カーヌーンの弦を探しているとのこと。フロロカーボン(PVF)を愛用しているとのことですが、トルコでは入手困難だといいます。
え? 皆さんは カーヌーンを御存知? パドルで河を漕いで進むカヌーではありませんぞ。
チターみたいに弦がいっぱい張ってあって、琴みたいに両手を駆使して演奏する弦楽器ですな。え? その前にチターがワカランと?
チターー( ゜Д゜) ーー! ではなく、ツイッターでもありません。
カーヌーンの写真: Turkish Kanoun (78 strings)
じつは、このテの「弦を探しています」というようなメールは、長年にわたって世界各地から私のところにたびたび寄せられているのです。そのたんびに私は株式会社クレハの弦 ... おっと、「釣り糸」であるシーガーを紹介して、「どうだ、ニッポンの技術は素晴らしいだろう!?」と誇らしく語りつつ、英語版のクレハ シーガーのホームページを案内しているのです。以下、弦楽器にかかわる人は知っておかねばならない、いわばマストサイト、シーガーです!
● 釣り糸/弦 のシーガーのオフィシャルサイト: http://www.seaguar.ne.jp
● 釣り糸/弦 のシーガーの英語版サイト: https://seaguar.com/shop.html
これらのホームページで製品群を御覧いただくとお気付きかと思いますが、新たな製品の登場がいくつも見られ、なおかつ従来の製品はパッケージがリニューアルされています。定番でゲージの幅広さを誇る「シーガー」は従来のオレンジ色を踏襲しつつも、モダンにリニューアル。
私も愛用するシーガーの弦(釣り糸)ですが、弦楽器製作工房ですから、各種類と太さが長尺でストックしてあります(旧パッケージはクレーンホームページの弦のコーナー等に掲載してきました)。しかしこれが、なかなか減らないんです(笑)....
なんたって50m単位で販売されているのに加え、当工房では羊腸弦をメインに使うようになったので、フロロカーボンの出番はグッと減っているのです。従って、新たに弦(釣り糸)を買うために、釣具店に行く機会もめっきり無くなっていました ... 。
近年は趣味としての「釣り」が見直され、「釣り女子」ということで女性の人気が急上昇と.... そうなれば会社としては製品開発にも力が入りますな。弦楽器愛好家はその恩恵を受けているようなものです。柔らかいカーボンや伸びないカーボンなど、「選べる」というのはシアワセなことです。
シーガーといえば、弦楽器の世界ではいまや国際的に知られるフロロカーボン/PVFの釣り糸(弦)を指しますが、遡ると1944年に「呉羽紡績」から「呉羽化学工業株式会社」が分離・独立してできた会社でした。様々な化学製品のうち、呉羽化学工業株式会社の繊維部門生産のために栃木プラスチックス株式会社を設立。釣り糸を開発・製造していたのは、その一部門でしたが、1970年に呉羽合繊株式会社に社名変更。フロロカーボン(PVF)の釣り糸/弦は1971年の発売ということになっていますが、最初の「シーガー」が作られたのは呉羽合繊株式会社のサイトでは1972年と記録されています。
そして今年2012年、株式会社クレハ(2005年に呉羽化学工業株式会社から社名変更)から釣糸事業の営業権を得て全面的に移管されました。
1970年から開発・製造を続け、今年でおよそ40年のロングラン商品、それがシーガーなのです。
クレハ合繊株式会社: https://www.kureha-gohsen.jp/
● 参考
カーヌーンといえば... イスタンブールのタクシム・トリオ。クラリネット(ヒュスニュ・シェンレンディリジ)、サズ(イスマイル・トゥンチビレク)とカーヌーン(アイタチ・ドーハン)…トルコを代表するユニットですな。
2007年に発表したアルバム「Taksim Trio」が国際的に大ヒット。そのメンバーであるアイタチ・ドーハン氏が使っている楽器ですね。え? タクシー・トリオって何だって!? 運転手の組合ぢゃないよ。
タクシム・トリオのCD:「タクシム・トリオ」
YouTubeでアイタチ・ドーハン氏のソロ演奏の様子がつぶさに視聴できます。カーヌーンってすごい楽器なんだねぇ... 。
・ソロ演奏 その1:友人宅で収録された有名な演奏。携帯電話が時々鳴りますが(笑)、リラックスした自由闊達な演奏が素晴らしい。
・ソロ演奏 その2:こちらもステージではなくプライベートなシーンでの収録。
・タクシム・トリオ:こちらはトリオでの演奏。トリオになるとまた別の世界ですな。ほぼ1時間のライブ演奏はこちら。