● 19世紀ギター フレンチ(LAMY) 委託品
商品名:19世紀ギター LAMY ハカランダモデル(パリ) 委託品
譲渡希望価格: 価格応談
新品/中古の区別:中古品(19世紀末期頃にフランスで製作されたもの)
参考写真:写真1 写真2 写真3 写真4 写真5 写真6付属品:-
注 意:表面板とボディの裏や底部に亀裂の補修痕があります。ネックやヘッドにも塗装補修痕があります。写真で確認してください。委託品のため価格交渉には多少の時間がかかることがあります。
説 明:【LAMYについて】
Jerome THIBOUVILLE-LAMY(ジェローム・ティブヴィル=ラミー)。
一言でLAMYといっても18世紀以前に遡り歴史も長く、1730年代にはすでに楽器製作家としての名前があります(1760年頃にミルクールへ拠点を移している)。弓やヴァイオリン製作でも知られた時代のLAMYから、19世紀ギターのラミーはもちろん、20世紀初頭の管楽器を含めた時代を含めて考えると非常に息の長いブランドです。一族のつながりも様々で、調べていくと興味深いものがあります。のちにパリやロンドン、ニューヨークなどに広く販売拠点を展開しており、ヴァイオリン、ギター、マンドリン、金木管楽器など多彩な楽器が数多く残っていることから、当時は大手の総合楽器メーカーであったことがわかります。現在でいうヤマハのようなものかな。さすがにシステムキッチンやモーターボートは作っていないでしょうけど...。
ギターの世界ではラコート亡き後の19世紀後期において非常に知名度が高く、質・量ともに多大なラインナップを繰り広げていました。品質を重んじ、合理的な楽器製作を行っていたようです。事実、私が修復した過去のすべてのLAMYギターは良質の材料と精巧な工作、そして狂いの極めて少ない優れたフレッチング。当初は自社の大規模な工房製作(下図参照)であったと思われますが、専門分野ごとに腕の良い職人を多く抱えていたようです。とくに凝った装飾楽器は分業化され外注(下請け/孫請け)されていたことがうかがえます。なかでも表面板に唐草と鳥などのインレイ装飾をあしらった仕様(CRANEでは花鳥風月ギターと呼んでいる)は今日でも世界的に知られるところです。また、同時代のBIARRITZやラベルの無い同様の装飾ギターの多くはLAMY工房または提携職人によるものと私は考察しています。
備考:花鳥風月ギターはギターコレクターを自称するなら1本は所有しておくべきマストアイテム。当時も特注品であったようで、なかなか同じ模様は無いようです。CRANEにてパターンを調査中ですが、お持ちの方は写真を送ってくださると嬉しいです。おっと、脇道に逸れましたな....
LAMYの現存するギターはハカランダ材(Brazilian rosewood)と黒檀、貝を用いた楽器が多く、一般的にはG.EONのブラスプレート糸巻きを標準で装備し(グレードによってプレートの装飾やツマミの材が異なる)、やや大きくゆるやかなカーブを持つボディ形状(時代やモデルによってはきつくくびれたボディも有る)、ブリッジ両脇は丸く薄い形状になっているのが特徴です。装飾モデルではブリッジは様々な形状・仕様がありました。ヘッドは基本的にはラコートの後期モデルを彷彿させる形状で3コブが標準的ですが、ロンドン市場向けにはパノルモ風のヘッドを持つものも作られていました。基本的な部品の寸法や材料は統一規格の傾向がある反面、上記のような花鳥風月ギターといった一部のゼイタク仕様は特注品の扱いでグレードも価格も差別化されていました。かなり装飾を略して黒檀や貝のパーツを使わないギターも現存することを考えると、今回の楽器はフレンチモデルのなかでは中間に位置します。
ラベルは時代や拠点によって数種類ありますが、現存するものの多くは円形ラベルで42 Bis Rue Reaumurであり、ほかにも68.68 Bis Rue Reaumur や 68.70 Bis Rue Reaumur あるいは長方形ラベルのもありました。同じ丸ラベルでも1900年頃(万博モデルギター)にはメダル配置の異なるデザインのラベルが貼られています。LAMYは19世紀末に会社組織化されたようで、ラベルにも「 & Cie 」が付加されるといった変化が確認できます。ちなみにラミーの血族は現在でもロンドンに末裔が生存するようです。
【この楽器について】
ラベルには J.T.L Jerome Thibouville Lamy,42 Bis Rue Reaumur, PARIS の記載があります。
バランスの良い音色で音程も正確です。19世紀のギターに限らず現代の楽器でもそうですが、ギターという楽器はフレットの配置がいいかげんなものが少なくありません(気付いていない人もすごく多いけど)。サドルやナットを調整して弦を変えても音程に違和感を感じるフレット楽器は意外に多いのです。そんななかで今回のLAMYはフレット配置については全域がほぼ +-3cent程度になっており非常に正確です。また、象牙のサドルは私が作り直して調整したのでオクターブピッチが +-3cent以内に収まっておりこれも非常に正確な部類といえます(但し弦によっても変わります)。ブリッジや糸巻きなどパーツもほぼ当時のオリジナルのままです。バーフレットも改造されておらず、まだ山が残っています。
【修理痕及び調整された箇所】
・表面板:指板高音域の両脇とブリッジの6弦位置の上下に亀裂の補修痕があります(写真の白い矢印部分)。あと、ブリッジ左右斜め周辺にガムテープが貼られていたような痕跡もあります(一見するとまったくわからない程度ですが)。そのほか弾き傷や小傷もあります。いずれも目立ちませんが御希望があれば別途写真を撮影してお見せできます。
・ボディ:裏板に縦に長い大きな2箇所の亀裂補修痕、及び側面板の底部に大小数カ所の亀裂の補修痕があります。
・ネックとヘッド:塗装補修痕や小傷などがあります(写真を参照)。ヒールからヘッドにかけて過去に再塗装されたようです。
・パッチ(クリート):裏板の亀裂と表面板指板高音域は内部にパッチが貼られています。強度確保のために過去の修理で行われた処置です。
【仕様について】
弦長:648mm
表面板:スプルース
裏板:スプルースとハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)のツキ板。
側面板:ハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)
塗装:セラック
ネックジョイント:Vジョイント
指板:黒檀
フレット:洋白系バーフレット(全17フレット)
パーフリング/ビンディング:松系?、黒檀
ロゼッタ:真珠母貝のインレイワークによる
サウンドホール:72mm
ブリッジ:黒檀
サドル:象牙 1〜6弦幅:59.5mm
糸巻き:G.EON製 ブラスプレート機械式ペグ
ナット:黒檀 約48mm 1〜6弦幅:41mm
全長:約955 mm(エンドピン含まず)
弦高(12フレット位置):1弦約3.0mm 6弦約3.7mm (まだ下げられます)
ボデイ全長:455mm
アッパーブーツ:234mm
ウエスト:192mm
ロアブーツ:320mm
総重量:1170g(ペグや弦も含む)
【現在の弦について】
前オーナーによりプロアルテ・ライトテンションのセットがそのまま張られています。1弦はテンションが高めなのでもう少し低くてもいいでしょう。
LAMY 19世紀末期頃 フランス(パリ) 弦長648mm A=440Hz 総テンション 推定約33kg
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