CRANE 楽器ケースをつくろう! 
2 in 1 ギターケース
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 仕上げ

 

次は内装です。ここでは1cm厚のスポンジ材とブリティッシュ・グリーンのクロスを用意しました。今回のケース用材料はほとんどをユザワヤで入手したものです。とくに内装のクロスにはこだわりたいところ。昔の内装クロスは赤や紺色、紫などが一般的でした。

 

 

このへんは実寸を優先してカットしていきます。まえもってケース内部の寸法をしっかり決めておかないとクロスの面積が足りなくなるので気をつけましょう。内装はスポンジの厚さ(1cm)を考慮して重なり部分を適切に処理せねばなりません。

 

 

白木にグリーンのクロスといった組み合わせは我ながら悪くない.....と思うんですけど。写真はフタと箱の蝶番部分に細長い帯状のクロスを貼ってフタが向こう側にひらききって壊れるのを防ぐための作業です。専用金具で開き角度を固定する方法もあります。もしくはヒモを使ってもいいでしょう。19世紀のコフィンケースの場合はフタの角度保持にはヒモを用いたものが多いです。

 

 

接着剤はタイトボンドですがタップリ塗って軽く押さえるのがポイントです。間違ってもギュ〜〜ッと圧力をかけて接着しようなどと考えてはいけません。スポンジに接着剤が吸い込まれてしまうからです。接着剤が必要なのはクロスと触れあう面だけでいいのですから。圧力を掛けて接着するとクロスの表面にしみ出てきて仕上がりが汚くなります。コーナー部分は折り込んでホチキスで仮留めしておくと作業が楽です。

 

 

 

今回のケースの最大のアイディアはコレです。名付けて「TSULTRA ぞうさん仕切り板」。その名のとおり象さんの鼻のように自在にくねって2本のギターのフクザツなボディラインを隔てて保護します。ここのクロスの袋縫いだけは家族の協力をいただきました。次回作では自分でミシンを使って縫ってみます。

 

ゴム足をつけます。といってもクリアな樹脂でシールになっており、これを接地面に6個貼ることで汚れと湿気を防止し、すべり止めにもなります。これはなかなかの優れものです。

 

 

フタには工房スタンプを押します。このスタンプもイラストレータでデザインした樹脂製の自作です。よく見るとケースのコーナーにストラップ用の金具(これもブラス製)を付けてあります。大きな男の大きな靴.....じゃなくて大きなケースの小さな工夫です。関東でしか通じないネタかな?
あとはギター製作で余ったセラックを使ってケース全体を軽く塗装します。

 

 

さあ! ラベルを貼って完成だ!! どうですこの堂々たるスタイル! 麻雀卓じゃないですぞ!

 

 

 

どだっ! う〜〜〜〜ん、ピッタンコ! ビンゴ!

 

 

 

外観はこんな感じです。2001弦楽器フェアに御来場の方は現物を御覧になったことでしょう。まずまずの出来映え。ストラップは脱着式でハンドルの両側にも掛けられるようになっています。

 

 

ハンドルはちょっと心配でしたが4本の太いボルトでがっちり固定してあり、使い勝手もなかなかです(と私は思う)。お金をかけて苦労した甲斐がありました。当初はハンドルも真鍮製の1本モノにしようと思っていたのですが強度の点で比較するとこちらで正解。

 

そして今回もいよいよ「その時」がやってまいります。モダンギターケースとの比較です。ホセ・ラミレスのハードケース、そうです、モダンギターの代名詞ともいえるラミレスの専用ケースとの勝負であります。かつてA.セゴビアに駆逐された19世紀ギターがケースの世界で復讐を遂げた瞬間です。胸に去来するのは故・中野二郎氏のセゴビア訪問の顛末か!? 高さ・奥行き・幅は御覧のとおり。そして重量はラミレスケースが5kg、今回のCRANEケースは6kgですが2本格納することを考えれば比較には及ばず快勝。後ろで見守るのはファブリカトーレと19世紀マーチンのモールド。わっはっはっはっはっはっ....!

 

 

大急ぎでラフに作ったとはいえ、いちおう私の作品ですのでラベルも貼ってあります。かつての19世紀の製作家がそうしたようにこのケースにもラベルを貼ります。CRANE工房の純正品であります....。

 

【感想】

結局のところ2日間で完成してしまいました(やればできるじゃないか)。ケースの重量が6kgですが19世紀ギター1本が約900gですから2本を格納した状態で総重量は8kgです。強度も充分すぎるほどで満足しています。比較したラミレス用モダンギターケースは5kgです、そのがギター本体が3kgとして総重量8kg程度。まあ、そうはいっても最近はモダンギター用には軽くてコンパクトなケースもあれこれ市販されているようですけどね.....(^_^)。

持ち運びには軽いほうがいいに決まっていますが強度との兼ね合いも難しいです。ボディ形状の異なるギターが2本納まるのは私にとっては大助かりなのです。もう少し時間があれば加工や塗装の仕上げを丁寧に行って板の厚さもなんとか1cmにしたいところです。

マンドリンや他の楽器でも同様のレイアウトで複数の楽器を1つケースに格納する方法は考えられます。工作の好きな方はこういったケース作りを楽しんでみるのもいいでしょう。

 

 

◆製作期間◆ テキパキやれば2日間、のんびり作れば2週間
◆重 量◆ 約6kg
◆費 用◆ 材料費は約12,000円ぐらい(真鍮パーツに凝るとコストがかさむ)。

 

 

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