CRANE 楽器ケースをつくろう! 
2 in 1 ギターケース
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  製作過程の解説-1

 

さて、今回はフェアに2本の19世紀ギター(自作楽器)を出展するために運搬用ケースを製作することになりました。みなさんはギターを2本同時に運搬するにはどうしてますか? 両手に花、じゃなくて両手に2本のギターを持つとカバンは持てないし電車のキップは買いづらいし、おまけに雨など降ろうものなら傘もささずに原宿状態で途方に暮れることになります。私は常に移動するときはカバンや持ち物はなるべくひとつにまとめ、なおかつ肩から掛けることにしています。そうしないととっさの危険を回避したり買い物でサイフをいじったりといった様々な状況に対応しづらいからです。通常はギターはソフトケース(19世紀ギターならエレキ用の黒いビニルクロス製)をこよなく愛用していますが今回は2本同時ということで、ケースにはあれこれ頭を悩ますわけです。キャスター付きのキャリアに2本をゴムバンドで縛り付けて運ぶも良し、2回に分けて運ぶも良し....。しかしまあ、じつはだいぶ前から2 in 1 のギターケースを作りたいとは思っていたのです。そうすれば自宅の工房にギターを保管するにも便利だろうと考えたからです。楽器を2本以上お持ちの方はおそらく楽器の保管場所に悩んだ経験があるでしょう? でしょ? でしょ? 職業人の演奏家のみなさんは2つのギターを運ばざる得ないときはどうしていますか?

今回がんばって2 in 1 ギターケースを完成させ、うまくできたらさらに同じようなケースをいくつか作って収納に役立てたいなどと野望を抱くのであります。さっそくケースの「形状」をあれこれ考えてみましたがコンパクトにまとめるにはだいたい限られた配置になります。さて、ここでひとつの写真を御覧ください。

 

■ 資料:19世紀当時の2本が1つの箱に収まるケースです。

 

これは私の加盟するアメリカの弦楽器製作者協会「Guild of American Lutherie」 の季刊誌から引用した写真です。ラベルが貼られている点にも注目されたし。その昔、ギタリストFerranti氏の所有した2本のラコート(スペアと本番用)が納まる携帯用ハードケース.......ちょっとレア.....だいぶレア。

じつは、私は自作の「2in1ケース」の製作を終えた次の週にこの季刊誌を読んでいて偶然この写真を見つけました....「やはり今も昔も考えることは同じか......」。ちなみに、以前、某出版社で同様のケース(現代の製作によるもの)を見かけたこともあります。みんな悩んで大きくなった....というか、このカタチに落ち着いたわけですね。それにしてもこの写真のケース、「おっきわぁ〜〜、大物よぉ〜〜」。

  


上の写真のケースも某出版社で見かけたケースもかなりデカイのです.....。理由は簡単で、楽器の周囲を包み込むようにフィットさせたウレタン?製の型が余裕を持って作られているために結果的にはサイズも重量も増してしまい通常の1本用ギターケースの2倍程度になってしまうというわけです。今回私が最初に考えたのは「限界まで小さく作る」ということでした。もうひとつの目標は「形状の異なるギターでも格納できるような工夫」です。つまり上の写真のケースも、某出版社で見かけたケースもラコートやパノルモといった楽器の固有の形状に合わせて特注されたものなのでウレタンの型はピッタリ決まっていて他の楽器が納まらないのです。これだとたくさんの19世紀ギターを所有している場合に入れ換えが難しく、不便です。私がどうやってそれを克服したか? といった点が今回の見どころです(ニヤリ)。

 

 

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