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■ 036:加古川市 長山辰信さん 「Nariyuki Cheap01」
さて、3年ぶりぐらいに更新するクレーンホームページの投稿コーナーです。
今日も視聴者の皆さんからとんでもない楽器を紹介致します。
鶴田自身もとっくに忘れていたところへ、いきなり投稿メールが届いて不意打ちをくらい「なんかまたすごいのが来たなぁ ...」と思いつつ、この楽器を使って作者自身が演奏したサウンドデータを聴いたら「おぉ!」なコトになっています。
まずはこの楽器を使った演奏(サウンドデータ:mp3形式)をお聴きください。
【 Nariyuki Cheap01 サウンドデータ mp3 】
いきなりドン・フェルダーが弾いているのかと思いましたよ。
楽器の名前は「なりゆきチープ01」ですよ。もう ...
やさしく言えばリーズナブル系といいますか、エコノミー系ですが、 自分でチープって書いてるし ... 。
はい、以下は御本人 からの解説です。
● 仕様と材料
弦長:650mm
ボディ:ラワン合板(2.5mm)
側面板/裏板の色:ホンマホ(ホンマやったらマホガニー!?)
ビンディング:表;竹(+黒マジック)、裏;リボン
ブリッジ:学習机の引出の板(+黒マジック)
サドル:アクリル定規(3mm)
インレイ:ヘッド;貝ボタン(+修正液)
ブリッジ:トコブシ
丸穴:天然石(ロゼッタストーンといふ)
サウンドホール:独自構造 以下の写真↓
● コンセプト
ストラトのネックを使ってアコースティックギターを作る。しかも費用はできるだけ抑えて。(なんかアプローチおかしいです)
・内部構造
・ライニング接着
・ブレーシング接着
・専用ケース
● 苦労したところ
ネックの接続部の構造。
側板の曲げ。(お湯かけて手でエイッと・・・乱暴怒りのラワンです!)
ライニング製作(のこぎりに物差しを貼ってひたすら溝を切って疲れたでおじゃる)
弦高調整(ブリッジが厚すぎてサドルで吸収できず、ブリッジ2mm削り直しました)
● 満足なところ
成行きでボディーの大きさが決まったが、共振周波数がA=440Hzで音階からうまく外れてくれたこと。(表板仮止めしてアーって確かめました)
最終的にオクターブピッチも弦高もバッチグー(死語)になったこと。合板ながら、それなりに鳴ってくれたこと。
【鶴田より】
あちゃ〜〜〜〜 。 ラワン合板に始まって黒マジック、リボン、学習机の引出の板、修正液にアクリル定規まで登場する ... 歴史的衝撃作。
この方の目に映った全てのものがギター材料と化す。恐るべき執念。
明らかにビール好きの同志が作ったと思われる「ピッタリ専用ケース」が泣かせます ... かなりショッキング。
20世紀以前の楽器業界での常識でいえば、楽器は塗装が上質で仕上げが丁寧で内部も塗装してあって杢目が綺麗で装飾も美しいほうがいい ... たしかにそうでしたな。
しかし、楽器の機能として可能な限りをそぎ落としていくと最後に残るのは「音程が正確で音が良い」... そういうことで。
21世紀は従来の価値観を否定する時代になってゆくにに違いありません。
良質な木材の枯渇や自然保護活動が進むと木材でギターを作ることが許されなくなり、プラスチックやカーボンになるかも。
2.5mm厚のラワン合板の表面板はゼイタク品になるかもしれません。
サウンドホールだって表面板から消えて、側面板やジョイントヒールから音が出るのが標準になるかもしれません。
ブリッジも細長いものは消え去り超小型が標準になるやもしれません。
長山辰信さんの次男の残した“ストラトのネック”があり「使いたいな」と思っていたところ、奇遇なことに9月にCRANEのサイトを見つけて製作に至ったとのこと。
世の中、何がきっかけになるかわかりません。
冒頭のサウンドは懐かしい人には泣けてくるイーグルスの ホテル・カリフォルニア /Hotel California 。鶴田もワカイ頃によく弾いたもんです。
ちょっと変わった編成がYouTubeに出てました。インストかと思ったらちゃんとハスキーにドン・ヘンリーが唄ってます。
記事:2018.11.17