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■ 031:バラライカ(プリマバラライカ スタンダードモデル)
■楽器名:バラライカ(プリマバラライカ スタンダードモデル)
■製作者:WADA
● コメント:
ギター、リュートなどの弦楽器が以前から好きでしたが、自作したのは初めてです。ロシアとは何の縁もありませんが、変わった楽器を考えていてたまたまネットで設計図を手に入れることができたため作ってみました。オリジナルではありますが、基本的にオーソドックスな方法で製作しており、皆さんの作品のようにあまり個性的ではないかも知れません。
低音弦2本の位置がずれていますが(Fig.2)、失敗ではなくそういう仕様です。低音弦は親指で押弦するちょっと変わった奏法の楽器です。サウンドホールはとても小さいですが、予想以上に大きくクリアな音が響きます。
【苦労した点】
ロシアでは楽器の輸出を制限しているのか、日本ではバラライカがほとんど販売されていません。図面が中心なので細かい点などわからないところがあり苦労しました。結局実物は一度も見たことのないまま作ってしまいました。ボディの製作や表面板の接着、指板製作などについてはCRANEホームページを大変参考にさせていただきました。
【工夫した点】
ベンディングアイロンは空き缶に白熱球を入れて自作してみました(Fig.3)。
バラライカ用の特殊な弦巻が手に入らないためギター用の弦巻を使用し、そのためヘッドの形を通常のバラライカとは少し変更しました(Fig4)。
ケースは桐の板をベースに発泡スチロールや手芸屋さんで安売りしていた布などを使って自作してみました(Fig.1)。
弦については、ロシア製のバラライカ弦をネットで入手できました。String pinは既製品のアコースティックギターのブリッジピンを利用しました。
サイズは本体が67.3cm、横(三角形の底辺)41.9cm、弦長43.1cmです。
● 材料
表面板:スプルース。インレイはチーク(Fig.5)。
Transom(底の部分):エゾ松。化粧板としてチークのツキ板(Fig.6)。
胴体:アガチス
ネック:チーク、芯材にローズウッド
ヘッド:ラワン
指板:黒檀
フィンガーガード:ローズウッド
塗装:セラック、アルコールニス
【鶴田より】
バラライカ(Balalaika)。ロシアの代表的な民族楽器ですな。弦は3本ですが調弦は G-G-A と比較的単純です。独特の音色。こんなシンプルな構造でありながら(だからこそ)無限の可能性を持ち、根強い人気を誇りまする。
... で、そのバラライカ。たしかに楽器店ではめったに見かけませんねぇ ... そこで、無いなら作ろう! 素晴らしい。
WADAさん、三角錘形のボディもしっかり出来てますね。リブの曲げには電球で自作のベンディングアイロン。糸巻きは自作であれば、こういった入手しやすい糸巻きのほうがのちのメンテナンスも考えればヨロシイかと思います。ロゼッタやボディ先端のインレイなど、オリジナルをよく観察して製作されていることが伺えます。対してネックの工夫やヘッド、テールピース等を見ればしっかりオリジナリティも発揮されており、素晴らしい一挺に仕上がっています。
ピッタリのハードケースがまた素晴らしい。
19世紀後期に伝統的なバラライカを改良し、コンサートに耐える高いレベルに完成させたのがロシアのワシーリー・アンドレーエフ。自らバラライカのために作曲や編曲、演奏や指揮など、その普及と啓蒙に生涯を捧げました。アンドレーエフは現代のバラライカの生みの親とされているだけでなく、サイズと種類を拡張してオーケストラを編成、国際的な影響を与え、ロシアの民族音楽が再評価されることにもなったのです。
【演奏】
一般的に知られるバラライカ演奏はコチラ
http://www.youtube.com/watch?v=XLI89TGFxk4
その後さらに発展した(しすぎた)バラライカはコチラ ...
・アレクセイ・アルキポフスキー(Alexei Arkhipovskiy)、ロシアのパガニーニと呼ばれています。
http://www.youtube.com/watch?v=3MCHL2GJRxM
・モーツァルトのトルコ行進曲(Tommy Emmanuel & Alexey Arkhipovsky)
http://www.youtube.com/watch?v=o9FEMUuqijU
・Alexey arkhipovskiy Balalaika Yand organ
http://www.youtube.com/watch?v=IRTtefzlmRU
記事:2014.2.23