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■ 017:ナッちゃんパパさん・・・鬼太郎音(きたろうね)
■楽器名:鬼太郎音(きたろうね)
■製作者:ナッちゃんパパ
■コメント:(以下、製作者本人談)
●工夫したところ・・・・
・ネックのバックとボディはジリコテとアガチスの色違いにしました。
・ネックはトップまで軽さを出すために1本のファルカタ集成材を芯にして、硬いジリコテで巻きました。
・塗装は日本リノキシンの「ギター用イエローゴールド」を3回塗りました。
・専用ケースは、発泡スチロールに薄切れを巻き、肩掛けをつけただけのシンプルかつ軽量のものです。あまりに馬鹿でかくて・・・街をかついで歩いていたら小さめのお棺をかついでいるようでした。時節柄、テロの警戒もあってか道行く人の「好奇の目」に晒されました。ロゼッタは、まだ彫る技術がないもので大雑把に彫ってから、あとは細かいレース地のペーパーコースターを羊皮紙に見立てて裏から貼りました。
●苦労したところ・・・
何といっても、ボディの曲げと接着につきます。手元にある加納さんのリュートをトレースしてリブを切り出したのですが、微妙な隙間があちこちに出来て、そこをタイトボンドに細かい木屑を入れて何とか埋めていきました。
最初から、製作と修復を同時に進行しているようで、これで段々と技術がついてくるんだろうな・・・と思いました。生まれて初めてのリュート製作でしたがヘッドの中央周辺に、しっかりインレイまで入れてみました。ただし、継ぎ目がズレてるのがご愛嬌です。ブンブンうなるルーターを使ったのも生まれて初めてです。怖かった・・・。 (хдх;)
●音やスタイルについて・・・
およそ1ヶ月かかりましたが、これでリュートらしい音がでなかったらどうしようかしらん・・・と、不安でしたが、13コース単弦で1〜3コースにガット弦、4弦にハナバッハのアルト4番弦、あとはオーガスチンの赤の4,5,6弦を貼ってみました。ニ短調調弦にしてバッハの『シャコンヌ』を弾いてみましたが低音が鐘のようにゴーンと鳴り響き、それはそれは気持ちのいい響きでした。
弦長は高音側67センチ、低音で140センチです。キタローネ用低音番外弦をピラミット社に現在、注文中で、到着まで3ヶ月かかるとのことでした。それまで、ギター弦を2本結んで使用しています。これでも通用するので驚きでした。
【Webmasterより】
生まれてはじめて作る弦楽器がキタローネ! 夜の墓場の運動会には必需品。弾くたびに「ゲゲゲッ...」という音が.... 出ません、出ません。この楽器を「借り物競走」で担いで走るとそうとう目立つでしょうねぇ....。リュートリレー競技ではバトン代わりにリュートを走者に渡しますが一般的には小型の6コースリュートを用います。こういった大型リュートは走りにくいだけでなく他の走者の進路妨害となる恐れがあります。競技規定によれば大型リュートをバトン代わりに使う場合はストラップが必需品となっており、スタートラインで検査を受けねばなりません。審判から確認されます、「キタローネ用のストラップは持ってキタロウね?」
(休憩)
う〜〜ん、いきなり第一作目で大型リュートとは意気込みが違いますね。製作もたいへんだったと思います。こう、なんといいますか白熱した製作風景を想像します。おそらくは決死の思いでとりくまれたのでしょう。ノミを持つ両腕にはキタローネ養成ギブス、ジャイアンツの帽子をかぶって両目にはメラメラと燃え上がる炎!!
一彫りごとに高々と足を挙げて一気に掘り降ろすっ! とりゃぁ〜〜〜〜〜〜! とりゃぁ〜〜〜〜〜〜!! とりゃぁ〜〜〜〜〜〜!!!
ハァ、ハァ.........ゼェ、ゼェ.........
(再び休憩)
というわけで、記念すべき第一作目がマウンド上で完成したんですね。こりゃ〜〜大作ですよ。私は工房が狭くて大型楽器が作れないのでなおさらスゴイと思います。こういった楽器を最初から作るというのは勇気がいることです。材料もリーズナブルなものをよく工夫されています。ナッちゃんパパさんのコメントを読んでいると製作に奮闘されている様子が手に取るように伝わってきます。そして同時に楽しくてしかたがないという活き活きとした躍動感を感じます。鶴田自身がはじめて楽器をつくったときのことを思い出しますよ。よくわからないことやうまくいかないこともあったけど最後に出た音というのは特別な感動がありますね。だいたい1作目というのはあとから振り返ると反省点が多かったりするものですが、それは生涯忘れえぬ経験になります。製作本数を重ねるうちに技術は向上しますが音を創っているのだという感動と熱意、その醍醐味、初心を忘れないようにと自分を戒める思いです。クレーンホームページの記事も参考にしていただいたとのことで恐縮です。製作も修理・修復も少し経験を積んで慣れてくると気持ちにゆるみがでて素朴な問題にすら気付かなくなってしまうものです。慣れというのはコワイですねぇ。今年(2006年)の春は工房クレーンを一新する予定です。一からやりなおすつもりで環境を整え、ふんどし(正確にはパンツのゴム)を引き締めてまいります。フンっ!(久しぶりに荒い鼻息)
ちなみに、ナッちゃんパパさんは現在2本目の楽器「パロックリュート」と3本目のアーチリュートを同時に製作中とのことです。完成したらぜひまたこのページに追加して感動をわかちあいましょう!