〒430 静岡県浜松市板屋町108-1
JR浜松駅のすぐ近く(北口)です。アクトシティという大きなビルの隣。
TEL:053-451-1128
入館料:400円(大人)/ 200円(高校生)/ 100円(小中学生)
開館時間:9:30〜5:00
休館日:月曜日(祝日にあたるときは閉館)、祝日の翌日。
休 憩:館内入り口に喫茶室あり。
所蔵楽器図録:カテゴリー別に各500円で販売しています。(オススメ!)
駐車場:アクトシティ地下駐車場。市営北駐車場。
浜松市の「音楽文化都市構想」の一環として平成4年から準備されてきた日本では初めての公立楽器博物館です。平成7年4月にオープンしました。地球上の様々な時代や地域の楽器を通して「人間」と「文化」を考えることが目的とのこと。現在はヨーロッパと日本の楽器を中心としていますが西暦2000年までに2000点の楽器収集をめざしているとのことです。
ヨーロッパ弦鳴楽器
まず入館して圧倒されるのが歴代の鍵盤楽器群です。チェンバロからの進化の様子が理解できます。(ちなみに写真撮影はストロボ禁止です)
鍵盤カットモデル
鍵盤楽器の構造が一目瞭然。たんにながめるだけでなく指で感触を確かめながら音を出すことができるのです。これはなかなかのアイディア。
カットモデルと視聴システム
今回、特筆すべき事のひとつがこれです。展示楽器のいくつかの演奏をヘッドフォンで視聴できるシステム。このフロアにはあのクリストフォリのピアノの復元品が展示されています。(現在のピアノの原型です)
船型胴ヴァイオリン
写真右下は18世紀後半にフランスで製作されたものです。左端はドイツの弓奏チターで19世紀後半に製作されたフレット付き4弦の楽器です。
ハーディ・ガーディ
右手でハンドルを回し、左手で鍵盤を操作します。ギタルラ社でもキットを販売していますね。ギコギコ...という感じの音色です。
ヴァイオリン族
ヴァイオリン族の中にはギターのようなボディを持つものもあります。右側の楽器はテールピースを持たずエンドピンで弦を留めて張ってあります。左端は(写真ではわかりづらいかもしれませんが)18世紀にドイツで作られたミュートヴァイオリンで、背中は1本の支柱でできています。
ヴィオラ・ダモーレ
くわがた虫のような複雑な胴体。いずれも18世紀に製作されたもの。
エピネット・デ・ヴォージュ
1800年ごろフランスで製作されたものです。全長は60mm
程度で14フレットです。これを見ていたら思わず作りたくなってしまいました(非常にシンプルですが同時に個性的でもあります)。どのような音楽が奏でられていたのでしょうか...。
ギター族
指している左から3番目のギターがイギリスの有名な製作家
ルイス・パノルモの作品です。(弾きたいのをぐっとこらえている私....)。ラコートは見あたりませんでした。
キタッラ・バッテンテ
ギターの仲間であり5コース10弦。ピックで演奏します。見事な装飾。側面と裏板はおそらく象牙に模様を彫り込んだもののようです。エンドピンとブリッジに注目。
キタッラ・バッテンテ側面
この角度から見れば以外とボウルが深いことに気付くと思います。それにしても左端の作品はすごいです(1624年ウイーンのJ.シュタードラー作)。ペグまで装飾された象牙...いったいどのような人物がこれを演奏し、聴いていたのでしょうか。
リュートの仲間
指しているのは17世紀に製作された7コースのルネッサンスリュートです。度重なる修復がうかがえます。ローズの彫り物はシンプルですが、おそらく歴代の持ち主が音色が気に入って使い続けたために現存できたのでは....などど勝手に想像する私。右端は全長2mのキタローネ。板外弦は共鳴用。(ちなみにウードはヨーロッパからは遠ざかるので、ここには出展されていないものと思われます。)
パンドゥリーナ
6コースですし、マンドリーノと同じでしょうか?(勉強不足の私)。マンドーラが正しいような...。これもすばらしい装飾です。全長52.5cm。前の写真で私と比較してください。1735年フォンタネッリの作品。
イングリッシュ・ギター
これは面白いですよ。1770年後ごろロンドンあたりではやったようですが、婦女子が指を痛めないように右手は鍵盤で演奏できるようになっています。鍵盤を押さえるとサウンドホールの奥からハンマーが飛び出してきて弦をたたきます。イギリス紳士らしい配慮か.....。
イングリッシュ・ギターヘッド部
ポルトガルギターにも見られる弦蔵構造でありましてツメに各弦を引っかけておき上部の各ネジで締め上げてチューニングします。さらにカポタストも個性的で、ネックの1フレットごと(ポジションマークの位置に相当)に穴が空けられ、裏側からネジで固定するというもの。イギリス人はネジが好きなのでしょうか?
ギターの仲間
左端はマドリッドのA.C.カルチアが製作したバンドゥーリア。6コース12弦でありテンションが強そうです。中央はシターンの仲間でバス・シターンといい1780年ごろパリで製作されました。単弦で低音の7コース〜11コースは開放ですからアーチリュートを模して弾きやすく改良したものではないかと思います。これらは南ヨーロッパが起源。
管楽器や打楽器、オルガンに現代ピアノ.....とてもすべてを紹介できません。上記の弦楽器類も一部のものです。
至る所に工夫がみられ、楽しく過ごせる空間だと感心しました。浜松といえば発動機と楽器とうなぎ.... 小学校の社会科で習ったような気がしますが、市をあげて音楽文化に取り組んでおられる様子がつぶさに感じられました。今後はアフリカやアジア、ロシア、アンデス...と展示の幅が広がることと思いますから、大いに楽しみです。そうしたら是非また訪問したいと思います。数多くの楽器の管理もさることながら所蔵楽器図録の編集もたいへんな労力が費やされたであろうと思います。
帰りがけに忘れてならないのが「うなぎ」です。私は九州の生まれですから蒸したものより焼いてあるほうが好きなのです....おいしかったです。うなぎパイのお土産もしっかり携えて帰宅しました。東京周辺の高速道路が混雑していたために片道5時間もかかってしまいましたが有意義な訪問だったと思います。
ぜひみなさんも機会がありましたらお訪ねください。
この「クレーンホームページ」も1年になりますが、今後もこのような価値ある情報の提供に心がけて運営していきたいと思いますので今後ともよろしく応援お願い致します。
村瀬様はじめ博物館の関係者の皆様にこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
備考:1996年の記事のため、写真はフィルムによる撮影でパソコンのモニタもカラーキャリブレーションが不完全な時代のものですので、その点御了承ください。