● セラックの歴史
■ 紀元前2000年頃:中国でセラックに含有する色素(ラック色素、または、ラッカイン酸)を染料に使われたといわれています。古代インド、インドシナでは染料として使われた形跡があり、インド最古のバラモン教の聖典「ヴェーダ」及びヒンズー教の聖典「マハーバラタ」において言及されています。
■ 700年〜800年頃:セラックは漢方薬では「紫梗(しこう)」と呼ばれ正倉院(北倉)御物として保存されています。
■ 1556年〜1605年頃:アクバル大帝の時代にはセラックが樹脂として利用され、セラックニスとして、木工塗装に使われるようになりました。塗料の製品名に、「〜ラック」・「〜ラッカ−」が多いのは、セラックニスに由来しています。
■ 1830年頃:アルカリ分散液となることが発見され、紙加工等に応用されました。
■ 1850年頃:ドイツで漂白セラックが発明され、主に先進工業国において製造、今日に至っています。
■ 1878年:エジソンの蓄音機の発明に伴い、SP盤レコード(SはセラックのS)が出現し、合成樹脂に代わるまでセラックの主用途でした。
■ 1928年〜1940年:セラックを使ったフロアーワックスが新しく利用されはじめました。
■ 1930年頃:エンテリックコーティングという、胃のなかでは溶けずアルカリ性の腸で溶解するコーテイング剤にセラックが用いられるようになりました。
■ 1960年頃:アメリカのスタンレイ化学社によりスチレン化セラックが商品化され新しい用途を見出しました。
■ 近年では合成樹脂の進歩に伴いセラックを各種の合成樹脂で変性することにより、両者の特長を活かしたセラックの用途も展開しつつあります。また、セラックは、環境に優しい自然塗料として、使用されています。
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